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ヒックとドラゴン in コンサート

ヒックとドラゴン in コンサート

7月23日、NHKホールで開催された「ヒックとドラゴン in コンサート」に足を運びました。

アニメ映画『ヒックとドラゴン』の全編を上映しながら、音楽をオーケストラの生演奏で楽しむシネマ・コンサートです。

『ヒックとドラゴン』は2010年に公開されたドリームワークス制作のアニメ映画。イギリスの児童文学を原作に、ドラゴンとバイキングの少年との友情を描いた物語です。

音楽はジョン・パウエル。
演奏は、指揮・佐々木新平、神奈川フィルハーモニー管弦楽団。

よかったです。堪能しました。

ジョン・パウエルはイギリス出身で、映画『ボーン・アイデンティティー』シリーズやアニメ映画『カンフー・パンダ』などの音楽を手がける作曲家。異色のヒーロー映画『ハンコック』の音楽が記憶に残っています。
『ヒックとドラゴン』の音楽は、北欧を舞台にしたファンタジーらしく、エキゾティックな響きを含むスケール感豊かな作品。フルオーケストラがダイナミックに鳴り響くシーンが多く、聴きごたえ抜群です。弦の速いパッセージや勇壮な金管の音色、ティンパニの力強い音などぞくぞくします。

電子音を使わない生音の響きが気持ちいい。シネマ・コンサート向けの作品だなぁと思いました。

とりわけ生のよさが味わえたのは、ヒックとアスティがトゥースに乗って飛ぶシーンのヴァイオリンソロ。
美しい映像とあいまって感動的。ぐっと気持ちが入ります。

エンドクレジットの主題歌は割愛。 生演奏の音楽に差し替えて、尺も短くなってました。
歌が入るとマイクとPAのセッティングが必要になり、歌手も呼ばなければならず、手間と予算が増えてしまいます。それに、物語が終わった後、長々とエンドクレジットが流れると子どもは退屈してしまうかも。と思うと、これは仕方ないかな。

シネマ・コンサートならではの幕間の演奏もあったし、アンコールも聴けて満足です。

なんといっても映画自体がすばらしいんですよね。
子どもが楽しめる作品なので、アクションはあるけど残酷なシーンはないし、誰も不幸にならない。深刻なところもない。
でも、ヒックの成長や親子の愛情、若い世代が古い因習を破って果敢に挑戦し、新しい未来を築く姿がしっかり描かれている。爽快で後味がいい作品です。
安心して絵と音楽を楽しめるという意味でも、シネマ・コンサートにふさわしい。

親子連れの観客も目につきました。夏休みに家族で鑑賞するにはぴったりのシネマ・コンサートでしょう。
トゥース(ドラゴン)のフィギュアやぬいぐるみを連れた、熱心なファンと思われる方たちも来ていました。
『スター・ウォーズ』や007映画のシネマ・コンサートに来る客層とはひと味違っていた印象です。
これはぜひ、『ヒックとドラゴン2』『ヒックとドラゴン 聖地への冒険』と続けてシネマ・コンサートでやってほしいです。

「ヒックとドラゴン in コンサート」ステージ