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カレイドスター音楽祭

カレイドスター音楽祭

4月13日、めぐろパーシモンホール大ホールで開催された「カレイドスター音楽祭〈20周年の すごい 究極 オーケストラコンサート〉」に足を運びました。

カレイドスター愛にあふれた、すばらしいコンサートでした。

クラウドファンディングで支援者を募って実現したイベントです。目標500万円に対し、あっという間に3千万円超の支援を達成してしまうという快挙に驚きました。支援者だけでホールを満席にする人数(1000人以上)になったので、チケットの一般販売はしていません。会場を埋めたのは筋金入りのカレイドスターファンのみなさんということですね。

「音楽祭」の名にふさわしく、カレイドスターの曲がたっぷり聴ける夢のようなコンサートでした。演奏曲は約50曲。アニメの画像や映像を一切使わないという潔さもよかったです。

演奏は西谷亮指揮、パシフィックフィルハーモニアポップス東京。
オケは、弦が10・8・6・6・4、木管がフルート、オーボエ、クラリネット、コールアングレ(イングリッシュホルン)、ファゴット×各1、トランペット×2、トロンボーン×1、ホルン×4、パーカッション×4、ハープ、ピアノ×各1という編成。
ピアノは作曲・編曲の窪田ミナさん自身。
窪田さんらしい彩り豊かな音のタペストリーがホールにきらめきます。ぜいたくで幸せな空間でした。
ロマンティックな曲、抒情的な曲、軽快な曲、コミカルな曲、どれも表情豊か。ソロも達者で申し分ない演奏でした。特にそらたちの特訓シーンなどに流れるダイナミックな曲の迫力がすばらしかった。生オケを聴く醍醐味を味わいました。

出演者、観客のみなさんがカレイドスター愛にあふれていて、会場の熱気もすごかった。
作品とスタッフとファンの理想の関係を見る思いです。

2回目もあるかな。何年か経ってからでもよいので、やってほしいですね。

カレイドスター音楽祭パンフレット裏表紙

舞台「千と千尋の神隠し」

舞台「千と千尋の神隠し」

3月29日、帝国劇場で公演された舞台「千と千尋の神隠し」の夜の部を観劇しました。

観るのは初めて。NHKでこの舞台が初演されたときのドキュメンタリーが放送されて、なんかすごいことやっているので、ぜひ観たいと思っていたんですよ。

すごかったです。

大がかりで凝った舞台装置と、照明、プロジェクション・マッピングなどを使って異世界を構築。 特に第1幕は舞台上で常にセットが動き、組み変わっている。その中で芝居も続けられている。ちょっとタイミングが狂うと事故が起こりかねない。そのめくるめく感覚が理屈では理解しがたい異世界の雰囲気を作り上げている。よくぞ作ったと感嘆しました。

油屋を訪れる神々も見どころです。神様といっても妖怪みたいなもので、特異なデザインを、衣装や着ぐるみ、ライオンキング方式、マペット、操演などで動かし、芝居をさせる。いろんな技術が総合されてるなぁ。舞台を作り上げた中心はイギリスのスタッフなんですが、イギリスの舞台劇の伝統と、歌舞伎、能、特撮などの日本の伝統芸が組み合わさって完成した舞台ではないかと思いますね。

この回のキャストは、千尋が朝ドラ『カムカムエヴリバディ』現代編のヒロイン・川栄李奈、ハクが『天気の子』の主人公・森嶋帆高の声・醍醐虎汰朗、湯婆婆が『鋼の錬金術師』のエドワードをはじめ数々のアニメキャラの声でおなじみで『侍戦隊シンケンジャー』では顔出しもされていた朴ロ美(ロは正しくは王偏に路)(プリキュアファン的には『Yes! プリキュア5GoGo!』のシロップの声)と、私的にいろいろおいしい顔ぶれでした。
川栄李奈さんは3月27日が初日。まだ役がなじんでない印象がありますが、精一杯の演技に返って千尋の必死さが感じられてよかった。朴ロ美さんの湯婆婆(銭婆と二役)はさすがです。セリフの迫力、振り幅の広い演技がすばらしい。

舞台は2幕構成。不可思議な異世界をたっぷり見せる1幕に対し、2幕はいわば謎解き&解決編。映画はいろいろ謎を残して終わってしまうけれど、舞台はきれいにまとめて、しっかりテーマに決着をつける。映画とちょっと印象が変わりますね。
『ナルニア国物語』『トムは真夜中の庭で』『思い出のマーニー』などの名作児童文学の伝統があるイギリス人らしい翻案と言えるかもしれません。

音楽について。
オリジナルスコアは久石譲、音楽スーパーヴァイザーとオーケストレーションはイギリスのスタッフ。舞台の音楽監督は『ひろがるスカイ!プリキュア』『わんだふるぷりきゅあ!』の音楽を担当している深澤恵梨香。アニメ版音楽のアレンジもありますが、オリジナル曲もあったような?
舞台ではオーケストラピットもつぶしてステージにしています。オーケストラの姿が見えず、録音なのかなと思っていたら、カーテンコールのときに疑問が解けました。舞台の奥が2階建てになっていて、その上にオーケストラがいて生演奏しているのでした。びっくりしたなぁ。たぶん指揮者がモニターで舞台を見て、ヘッドフォンでマイクが拾ったセリフを聞きながら演奏している? 音楽とタイミングを合わせて芝居するシーンもあるので、これもなかなかの超絶技巧です。
アニメ版がベースになっているとはいえ、舞台版は独自の音楽なので、スタジオ録音で音楽集発売してくれないかなぁ。

カーテンコールでは客席総立ちのスタンディングオベーションとなりました。挨拶をする川栄李奈さんがなかなか立派な座長ぶり。感動しました。

帝国劇場の「千と千尋の神隠し」は3月30日が千秋楽。
このあと、愛知(名古屋)、福岡(博多)、大阪(梅田)、北海道(札幌)、イギリス(ロンドン)で公演するそうです。
すごい舞台なので、機会ががあれば、ぜひご覧ください!
https://www.tohostage.com/spirited_away/index.html

「千と千尋の神隠し」プログラム

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「ファンタジア」ライブオーケストラ・コンサート

「ファンタジア」ライブオーケストラ・コンサート

3月24日、NHKホールで開催された「ファンタジア」ライブオーケストラ・コンサートに足を運びました。

ディズニーのアニメ映画『ファンタジア』のシネマコンサートです。
演奏は佐々木新平指揮、東京フィルハーモニー交響楽団。

といっても映画を丸ごと上映するのではなく、オリジナルの『ファンタジア』(1940)と2000年に公開された続編『ファンタジア2000』から数本ずつ抜粋して(順番もばらばらに)上映・演奏するというイベント。
新旧の作風の違いも観られて面白かったです。

ふつうのシネマコンサートと違ってセリフも字幕もないので、映像と音楽に集中できるのがよい。
これはシネマコンサート向きではないか!
と思ったのですが、映像に集中しすぎてオーケストラを観ている余裕がないのが自分としてはもどかしい。

プログラムの合間に司会者のMCが入り、指揮の佐々木新平さんから楽曲のエピソードやシネマコンサートを演奏する苦心なども聞くことができました。
シネマコンサートにふつうMCは入らないんですが、今回は演奏者を休ませる意味もあるのだろうな、とあとで思いました。
ふつうの映画と違って「音楽が入らない場面」がないから、続けて上映するとずっと演奏しっぱなしになってしまいますからね。

もともとは先に録音された音楽をもとに絵を作る「プレスコアリング」の方式で制作された作品。
しかし、コンサートでは逆に絵に演奏を合わせなければいけない。なかなか大変だったと思いますね。
しかも映像と動きのタイミングがぴったり合う「ミッキーマウシング」の手法もふんだんに使われている。ふつうの映画だったら、曲の最初と最後さえ合っていればそんなに違和感がないんですが、こういう作品だと一拍一拍ぴったり合わせる必要があります。一拍たりとも気が抜けない。
指揮者の佐々木新平さんは「マラソンを走るようなもの」とおっしゃっていました。

『ファンタジア』を大画面で観るのも得難い体験でした。
生演奏で体験する価値がある作品だったと思います。

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菅野祐悟コンサート2024

菅野祐悟コンサート2024

3月9日、北とぴあ さくらホールで開催された「菅野祐悟コンサート2024」に足を運びました。

北区文化振興財団設立35周年記念事業「北とぴあ国際音楽祭2023」の一環としての開催。
北区民はチケットが割引価格で買えるので、初めて菅野さんのコンサートを聴きに来たという北区民の方も多かったと思います。

北とぴあ1

北とぴあ2

いつも派手な衣装で登場する菅野さん、今回は全身真赤なスーツでステージに現れて、拍手喝采を浴びてました。

演奏は、コロナ禍前のコンサートでおなじみだったフルオーケストラ編成ではなく、菅野さん自身によるピアノ/キーボードとダブルカルテットの弦、コントラバス(エレキベース持替)、ギター、トロンボーン、サックス各1という小ぶりな編成。
しかし、アレンジや演奏に工夫があり、満足度は高い。
よいコンサートでした。

大野克夫さんから引き継いだ劇場版『名探偵コナン』のテーマ曲を最初と最後に配し、第1部はテレビドラマの音楽中心、第2部は映画とアニメ音楽中心の選曲。
第1部では、会場のお客さんからキーワードをもらって菅野さんが即興で曲を作るコーナーも。
スタイリッシュな曲とゆるいMCのギャップが楽しく、菅野祐悟コンサート初心者にも「菅野祐悟ってどんな人?」というイメージが伝わったと思います。
打ち込みのバックトラックを流しながら演奏する現代のサウンドトラックならではの曲もあり、多彩なサウンドが楽しめました。
なかでも、ピアノ、トロンボーン、サックスのトリオで演奏された『軍師官兵衛』メインテーマがよかった。いつもはオーケストラの演奏で聴いている曲が、この日はしゃれたフランス映画のテーマ曲みたいに聴こえて新鮮でした。

クライマックスは、アニメ『PSYCHO-PASS サイコパス』からのメドレーとアニメ『ジョジョの奇妙な冒険』からの処刑用BGMメドレー。
特に『ジョジョ』コーナーでは菅野祐悟コンサートの常連さんが立ち上がって踊り始めるいつもの光景が見られ、「ああ、菅野さんのコンサートが帰って来た」と感慨深かったです(私は座ってましたけど)。

菅野祐悟コンサート2024プログラム

アンコールはオリジナルシンガー・青木カレンさんのヴォーカルで『昼顔~平日午後3時の恋人たち~』から「Never Again」と『カイジ ファイナルゲーム』からトロンボーンソロをフィーチャーした「END TITLE」、そしてこの日のために菅野さんが書き下ろしたオリジナル曲のピアノソロで終演。

サイン会に並ぶ人の長い長い列を見ながら、会場をあとにしました。

菅野さん、5月にもイベントが予定されているそうなので、楽しみにしています。

山下康介のオトユウギ Vol.1

山下康介のオトユウギ Vol.1

3月4日に銀座・王子ホールで山下康介さんのコンサート「山下康介のオトユウギ Vol.1」が開催されました。

諸般の事情により配信でリアルタイムで拝聴いたしました。

すごくよかった!

書き下ろし曲あり、音大の卒業制作の曲あり、そして、映画・ドラマ・ゲームなどの音楽たっぷり。
『信長の野望』『花より男子』『クロサギ』『この空の花 長岡花火物語』『美の巨人たち』などなど。
ハイライトは『暴太郎戦隊ドンブラザーズ』からのBGMメドレー!

小編成ゆえにメロディーやオーケストレーションのよさが際立ちますね。
演奏もすばらしい!

配信チケット販売中ですので、気になる方はぜひ!
アーカイブ配信は公演1週間後くらいから始まるそうです。

詳細とチケットは下記から
https://12do.co.jp/yamashitakosuke.html

タイトルに「Vol.1」とあるのでVol.2も期待しています!

フィルフィルコンサート「GEKIBAN!」

フィルフィルコンサート「GEKIBAN!」

2月11日にミューザ川崎シンフォニーホールで開催されたフィルフィル(フィルムスコア・フィルハーモニック・オーケストラ)コンサート「GEKIBAN! -Anime Symphonic Journeys-」に足を運びました。

よかった!
堪能しました。

まさに「こういうのが聴きたかった!」というコンサート。

60年代の『ジャングル大帝』から70年代『宇宙戦艦ヤマト』、80年代『風の谷のナウシカ』、90年代『GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊』『ポケットモンスター』『ONE PIECE』、00年代『機動戦士ガンダムSEED』『ヱヴァンゲリヲン新劇場版』、10年代『進撃の巨人』『ULTRAMAN』、20年代『機動戦士ガンダム 水星の魔女』『すずめの戸締まり』と幅広い年代をカヴァーし、かつ90年代以降が厚いプログラム。
企画にかかわったオーケストラメンバーの年齢層を反映した選曲なのでしょう。
結果、「アニメ音楽の現在」が浮かび上がる好プログラムになっていました。
また、このコンサートが「GEKIBAN」と名付けられていることに隔世の感がありますね。

演奏曲中いちばんの驚き&感激は川井憲次さんの『GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊』からの1曲「謡III-Reincarnation」。
なんと、コーラスで西田和枝社中が登場。本物ですよ!
パシフィコ横浜国立大ホールで「川井憲次コンサート2007」を聴いて以来の生演奏体験でした。
川井憲次さんがステージで曲の誕生秘話を話してくれたのも実にぜいたく。

『すずめの戸締まり』も、RADWIMPSとともに作曲を手がけた陣内一真さんとオーケストレーションを担当した戸田信子さんの対談形式で曲解説があり、非常に興味深く聴くことができました。

佐橋俊彦さんの『機動戦士ガンダムSEED』はタイムリーな選曲(選曲時は意図してなかったかもしれませんが)。「交響組曲」版のスコアだったので、オーケストラの鳴りもよく、コンサート一番の「シンフォニックなカッコよさ」を堪能しました。

続いて演奏されたのが大間々昴さんの『機動戦士ガンダム 水星の魔女』からメインテーマ「The Witch From Mercury」。ダイナミックなオーケストラに女声ヴォーカリーズが絡む曲で、重厚さとケレン味を兼ね備えた曲調はまさにガンダム。聴きごたえ満点です。

締めくくりが鷺巣詩郎さんの『ヱヴァンゲリヲン新劇場版』からの3曲。うち2曲はコンサート初演だそうで、『GHOST IN THE SHELL』に並ぶ感激でした。TV版でなく新劇場版からの選曲というのもナイス。エヴァの音楽は年々進化し、リッチになっていますから。

「あの曲も聴きたかった」と言い出すときりがないですが、オリジナルスコアの手配や権利上の問題など、さまざまな条件をクリアしての内容だそうですから、ここまで集められたことがすばらしい。特に近年の作品はコンサートで演奏するだけでも縛りがあったりしますからね。毎度ながら、フィルフィル代表・戸田信子さんの熱意と人望に感嘆します。

大変と思いますが、ぜひ第2弾を期待したい!

そして、次回のフィルフィルコンサートは8月19日にジェリー・ゴールドスミス特集だそうですよ!
こちらも今から楽しみです!

フォトセッション1

フォトセッション2

《セットリスト》

続きを読む:フィルフィルコンサート「GEKIBAN!」

MIQ40デビュー周年記念コンサート

MIQ40デビュー周年記念コンサート

1月7日、品川区のきゅりあん小ホールで開催された「MIQデビュー40周年記念コンサート +1新たな伝説へ」に足を運びました。

パワフルでソウルフルなヴォーカルで人気のMIQさんが、『戦闘メカ ザブングル』の挿入歌「HEY YOU!」でメジャーデビューしたのが1982年。コロナ禍で開催が延期されていた40周年記念コンサートがついに実現しました。

休憩をはさんで2時間半ほどのステージ。デビュー当時と変わらぬ、いや、さらにパワフルになったヴォーカルを堪能しした。
バックの演奏はキーボード、ドラムス、エレキベース、エレキギターの4人と女声コーラス2人のみ。シンプルな編成ゆえ、ヴォーカルの魅力が際立ちます。

ステージ風景

3月9日には大阪公演も予定されているので、楽しみにしている方のためにセットリストの紹介は控えますが、新アレンジによるアニメソングのセルフカバーやジャズのスタンダードナンバーなどは聴きどころですよ。特に印象に残ったのは、ニューミュージックの名曲のカバー。いやー、よかった。

あらためて、MIQさん、デビュー40周年おめでとうございます!

東京公演は終了しましたが、現在、配信チケットを販売中。1月14日23時59分まで観られるので、会場に行けなかった方も、もう一度楽しみたいという方も、ぜひご利用ください。

MIQデビュー40周年記念コンサート配信チケット販売サイト(1月14日20:00受付終了)

会場で販売していた40周年記念アルバムはこちらで購入できます。

MIQデビュー40周年記念セルフカバーアルバム「+1新たな伝説へ」

アルバム・ジャケット

「男声合唱のためのウルトラセブン」楽譜出版記念コンサート

「男声合唱のためのウルトラセブン」楽譜出版記念コンサート

12月4日、渋谷さくらホールで開催された「男声合唱のためのウルトラセブン」楽譜出版記念コンサートに足を運びました。

冬木透作編曲による楽譜本『男声合唱のためのウルトラセブン』(全音楽譜出版社)が12月15日に発売されることを記念したコンサートです。

1部は蒔田尚昊名義によるオリジナル作品。

  • Ave Maria
  • ガリラヤの風かおる丘で
  • きみの笑顔により添って
  • Ave Regina
  • Ave Maris Stella
  • 『智惠子抄』より あどけない話/千鳥と遊ぶ智恵子/レモン哀歌

などが演奏されました。はじめて聴く曲もあり、冬木透音楽の原点としてもとても興味深かったです。

2部は楽譜本に収録された作品から。

  • ウルトラセブンの歌
  • ウルトラ警備隊
  • ウルトラ母のバラード
  • 怪獣のレクイエム
  • ウルトラセブンのバラード
  • 哀惜のバラード
  • ゾフィーのバラード
  • ULTRA SEVEN
  • 戦え!ミラーマン
  • ワンダバ・メドレー
  • ウルトラマン賛歌
  • 希望の塔デュアダバダン

力強い熱唱で、すばらしかったです。特にワンダバ・メドレーは圧巻でした。

最後は冬木先生の指揮で会場みんなで「ウルトラセブン」を歌って終演。

先行販売されていた楽譜も買いました。
全曲、冬木先生自身の編曲で、冬木先生による各曲コメントもついているので貴重です。

「男声合唱のためのウルトラセブン」

終演後、冬木先生に久しぶりにお会いしてご挨拶しました。
まだまだお元気で活躍してほしいです。

カテリーナ古楽合奏団「祝祭」

カテリーナ古楽合奏団「祝祭」

11月19日、北とぴあ つつじホールで開催されたカテリーナ古楽合奏団コンサート「祝祭」に足を運びました。

カテリーナ古楽合奏団は1973年に結成された古楽器を演奏する楽団で、今年結成50周年。その記念コンサートです。

サウンドトラックを聴いていると、民族楽器(古楽器)を使った曲にしばしば出会います。洗練された現代の楽器では聴けない、素朴で不思議な音を出す楽器が多い。
楽器博物館などで古楽器を見ることはできますが、実際にどんなふうに演奏され、どんな音が出るのか、生で見る機会はなかなかありません。
そんなことで、このコンサートはサントラファン的にも興味深いものなのでした。

演目は13世紀~16世紀の西洋や中東の曲が中心。聴きなじみはないですが、西洋音楽のルーツを聴くようで面白い。
数100年前の人々がこんな音と音楽を聴いていたのかと想像するとロマンティックな気分になるし、時代も地域も異なる音楽がひとつのステージで演奏されることに現代的な意義も感じます。
有意義なコンサートでした。

実はカテリーナ古楽合奏団のメンバーである上野哲生さんを私は知っていました。
80年代に放送されたTVアニメ「おはよう!スパンク」の音楽を担当した作曲家です。当時はポップスを書いていたが、紆余曲折あって今は古楽器の演奏に打ち込んでいることをインタビューでうかがいました。
その上野さんが演奏する姿を見、音を聴けたことも、今回の収穫でした。

今回のコンサートのプログラムを中心にしたニューアルバムが発売されるそうです。
カテリーナ古楽合奏団のサイトで予約・購入ができます。
https://arujya.wixsite.com/mysite/catherina

ステージに並ぶ古楽器(開演前に)

赤毛のアン アニメコンサート

赤毛のアン アニメコンサート

11月18日、第一生命ホールで開催された「赤毛のアン アニメコンサート」に足を運びました。

TVアニメ『赤毛のアン』の映像とともに生演奏の音楽を楽しむコンサート。
2020年6月に開催予定でしたがコロナ禍で延期され、この日、ようやく開催が実現しました。

『赤毛のアン』は私の「心のアニメ」の1本です。
2004年には日本コロムビアに持ち込んだ企画が実現し、構成・解説・インタビューを担当した完全版音楽集「赤毛のアン 想い出音楽館」を発売することができました。
2019年12月には個人誌「劇伴倶楽部」の1冊として『赤毛のアン』音楽研究本「THE MUSIC OF "Anne of Green Gables" ~赤毛のアンの音楽世界~」を執筆・発行したくらい。

なので、2020年にコンサート開催のニュースが報じられたときから、この公演を楽しみにしていました。
昼夜2回公演の2回ともチケット取って聴きましたよ。

会場は開催を心待ちにしていたファンで満席。
限定グッズセットは開場15分で早々と売り切れ、がっくりする人続出。
私もそのひとりでしたが、夜公演に根性で並びゲットしました。

コンサート限定グッズセット

それはともかく、コンサート自体はすばらしかった。

演奏:井田勝大指揮 シアター オーケストラ トウキョウ
歌:大和田りつこ
出演:山田栄子

会場の第一生命ホールは全767席。クラシック向けのホールですが、ステージはあまり大きくありません。
今回のオーケストラは、
弦x9(第1ヴァイオリンx2、第2ヴァイオリンx2、ヴィオラx2、チェロx2、コントラバスx1)
木管x5(フルート、オーボエ、クラリネット、ファゴット、リコーダー/オカリナ持ち替え)
金管x3(トロンボーンx1、ホルンx2)
ハープx1
チェレスタ/キーボードx1
パーカッションx2
全21名という小ぶりな編成。
これはホールの都合と予算の都合の両方がありそうです。

しかし、音の再現度はすばらしかった。
ピアノ、ギター、チェンバロはキーボードで代用していましたが、ステージをよく見ていなければ気づかないほど自然でした。
また、打楽器はマリンバ、グロッケンシュピールなどのクラシックパーカッションのほかにドラや、コンガやボンゴなどのラテンパーカッションまでそろっていて、独特のサウンドを作り出していました。
おそらく譜面は残ってないと思うんですよ。音源から採譜したのではないかと思います。が、まったく違和感を感じさせないすばらしいオーケストレーションと演奏でした。
また、原曲のテンポに忠実に演奏していたのもよかった。それも再現度の高さにつながっているのでしょう。

ただ、BGMはともかく、主題歌の「きこえるかしら」や「さめない夢」の伴奏はもっと大きな編成で録音されているはずで、その「たっぷり感」が体験できなかったのはやむをえないとはいえ、惜しかった。
オープニングの「きこえるかしら」の伴奏は、サックス4本、クラリネット2本、トロンボーン4本、打楽器、エレクトーン、ピアノ、弦楽器という特殊な編成であったことが、当時の三善晃さんの証言でわかっています。今回はサックスもピアノも入っていないですからね。再演があるなら、ぜひ再現してほしいところです。

オリジナル歌手・大和田りつこさんの変わらぬ歌声が感動的でした。
今回、主題歌2曲のほかに挿入歌「森のとびらをあけて」「あしたはどんな日」「忘れないで」「涙がこぼれても」の4曲を歌ったのですが、作曲した三善晃さん、毛利蔵人さんのこだわりで、1番、2番、3番と歌詞に合わせてメロディーが微妙に違うのです。それを完璧に歌っていた。感嘆しました。

演奏曲は以下の通り。
(メモと記憶に頼っている部分が多いので間違っていたらすみません)
赤毛のアンのBGMは1曲ごとに曲名が付いてない(付けてない)ため、2枚組CD「赤毛のアン 想い出音楽館」の収録ブロックタイトルとM-No.で表記しました。参考にCD「ANIMEX1200シリーズ 赤毛のアン オリジナルBGMコレクション」での収録ブロックもカッコ内に併記しました。
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●第1部
オープニング
「きこえるかしら」サウンドトラック音源

第1章 マシュウ・カスバート驚く
Disc1:プリンスエドワード島へ:A-1A(Retake) (※ANIMEX:第一楽章)
Disc1:プリンスエドワード島へ:A-5 (※ANIMEX:第十楽章)
Disc1:よろこびの白い道:B-2B (※ANIMEX:未収録)

第2章 マリラ・カスバート驚く
Disc2:栄光と夢:A-2D (※ANIMEX:未収録)

「森のとびらをあけて」歌:大和田りつこ
「あしたはどんな日」歌:大和田りつこ

第6章 グリーン・ゲイブルズのアン
Disc2:クイーン学院への旅立ち:B-5B (※ANIMEX:未収録)
Disc1:アイドルワイルドの木陰で:B-7 (※ANIMEX:第四楽章)

第9章 おごそかな誓い
Disc1:おごそかな誓い:B-9A (※ANIMEX:第三楽章)
Disc1:忘れないで(Instrumental) (※ANIMEX:未収録)

第15章 秋の訪れ
Disc1:秋の訪れ:C-8 (※ANIMEX:未収録)
Disc1:秋の訪れ:B-17A(Slow) (※ANIMEX:未収録)

第16章 ダイアナをお茶に招く
「忘れないで」歌:大和田りつこ

第20章 再び春が来て
Disc2:夏の光・海辺の夢:C-1A (※ANIMEX:未収録)

第24章 面目をかけた大事件
Disc2:心の友ダイアナ:D-5 (※ANIMEX:第八楽章)

第28章 クリスマスのコンサート
Disc2:クリスマスのコンサート:B-11 (※ANIMEX:未収録)
Disc2:雪降る聖夜:B-12-2 (※ANIMEX:未収録)

第29章 アン・物語クラブを作る
第36章 物語クラブのゆくえ
Disc2:夢みる頃を過ぎても:B-12 (※ANIMEX:未収録)
Disc2:神は天にいまし:A-1 (※ANIMEX:第三楽章)

●第2部
第37章 十五歳の春
Disc2:十五歳の春:B-16 (※ANIMEX:未収録)
Disc2:十五歳の春:B-9B (※ANIMEX:未収録)

第38章 受験番号は13番
Disc2:乙女心のメヌエット:B-1B (※ANIMEX:未収録)
Disc2:風のふるさとへ:B-1C (※ANIMEX:未収録)

第41章 クイーン学院への旅立ち
Disc1:夏の光・海辺の夢:C-4 (※ANIMEX:未収録)

第44章 クイーン学院の冬
Disc2:冬のセレナーデ:A-1A (※ANIMEX:未収録)

第46章 マシュウの愛
Disc2:マシュウの愛:B-1A (※ANIMEX:未収録)

第47章 死と呼ばれる刈り入れ人
Disc2:めぐる季節:B-3C (※ANIMEX:第八楽章)
Disc2:冬のセレナーデ:B-17C (※ANIMEX:未収録)
Disc2:レクイエム:B-3 (※ANIMEX:レクイエム)

第49章 曲がり角
Disc2:神は天にいまし:G-2C (※ANIMEX:第一楽章)

第50章 神は天にいまし、すべて世はこともなし
神は天にいまし:A-2E (※ANIMEX:第十楽章)

「涙がこぼれても」歌:大和田りつこ

エンディング
「さめない夢」歌:大和田りつこ

アンコール
「きこえるかしら」歌:大和田りつこ

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オープニングでアニメのオープニング映像と当時の音声を流し、アンコールで生歌の「きこえるかしら」を聴かせる構成がニクいですね。盛り上がりました。

第36章で1部を区切ったのは、次の第37章でアンが十五歳になり、キャラクターデザインが大きく変わるからでしょう。リアルタイムで観ていたときも、はっとしたところです。第37章からが成長したアンの物語になり、雰囲気も変わる。この構成もうまいです。

第2部の前にトークコーナーがありました。アン役の山田栄子さんと歌の大和田りつこさん、そして指揮の井田勝大さん。いろいろ裏話が聞けて興味深かったです。昼の部と夜の部で基本的に内容は同じですが、細部が微妙に違う(笑)。両方聞けた人はラッキーでした。

1部の1曲目「プリンスエドワード島へ:A-1A(Retake)」から「おお、アンの音だ!」と感激しました。続く「プリンスエドワード島へ:A-5」「よろこびの白い道:B-2B」も本編第1章と同じ流れで気分が盛り上がります。
アンがダイアナと初めて会う場面の「おごそかな誓い:B-9A」が身もだえするほど美しく、うっとりしてしまいました。
弦合奏が奏でる優雅な「秋の訪れ:C-8」も好きな曲です。アヴォンリーの秋の情景に流れました。
「雪降る聖夜:B-12-2」はマシュウがアンのためにふくらんだ袖のドレスを用意するエピソードで使用。クリスマスイヴの夜を彩るチェレスタの音色に心がほっと温かくなります。
1部の最後に流れた「神は天にいまし:A-1」はノスタルジックな旋律が心にしみる曲。クリスマスのコンサートが終わり、余韻に包まれながら帰るアンとダイアナのシーンに選曲されていました。

2部はマリラがアンの成長に驚く「十五歳の春:B-16」から始まります。続く「十五歳の春:B-9B」はジョセフィンおばさんがアンの成長に感動するシーンに流れた曲。
「冬のセレナーデ:A-1A」は1部の1曲目に流れた「プリンスエドワード島へ:A-1A(Retake)」のテンポの遅い別ヴァージョンなのですが、お気づきになったでしょうか? アヴォンリーのテーマとも呼べる曲です。
次に演奏された「マシュウの愛:B-1A」は今回のコンサートでとりわけ感動した曲です。聴くたびに「1ダースの男の子よりもだよ」というマシュウのセリフを思い出し、うるうるしてしまいます。
「めぐる季節:B-3C」はリコーダー、オカリナとギターが奏でる曲。ほかのバロック風の曲とはひと味違うサウンドで、さわやかな味わいがすてきでした。
アンが重大な決心を胸に海岸を歩くシーンの映像をバックに流れた「神は天にいまし:G-2C」は挿入歌「ちょうちょみたい」をアレンジした曲。アニメのそのシーンでは「ちょうちょみたい」の歌入りが流れていました。
最終話のアンが手紙をつづるラストシーンに流れた「神は天にいまし:A-2E」をバックに山田栄子さんによる生アフレコが入り、1979年当時に観たときの感動がよみがえりました。A-2Eのあとに挿入歌「涙がこぼれても」が続くのはアニメの最終話と同じ流れです。

大和田りつこさんが歌った挿入歌「森のとびらをあけて」「あしたはどんな日」の2曲は三善晃さんの作編曲、「忘れないで」と「涙がこぼれても」の2曲は毛利蔵人さんの作編曲によるものです。とりわけ、「忘れないで」のやさしく可憐なメロディーとオーケストレーションが私は当時から大好きでした。『赤毛のアン』の音楽というと三善晃さんの名前が第一に上ることが多いですが、毛利蔵人さんのすぐれた才能ももっと注目されるべきと思います。

全体の構成は、「赤毛のアン 想い出音楽館」を参考にしつつ、実際の本編使用曲を調べて独自に選曲・構成したようですね。

続きを読む:赤毛のアン アニメコンサート