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シンフォニック コードギアス リベリオン

シンフォニック コードギアス リベリオン

5月4日、仙台銀行ホール イズミティ21大ホールで開催された仙台フィルハーモニー管弦楽団のコンサート「シンフォニック コードギアス リベリオン」に足を運びました。

大変な力演でした。しびれました。

アニメ『コードギアス 反逆のルルーシュ』の音楽をオーケストラ組曲に編曲して演奏するという趣向。
しかし、アニメのイベント的な演奏会ではないんですね。仙台フィルの定期演奏会の一環なのです。だからアニメの映像を映し出す演出もないし、アニメのグッズなども売ってない。
それなのに『コードギアス』というセレクトが渋い。人気作品ではありますが、一般的知名度はそれほどではないと思われ。しかし、今でも新作が作られている現役の作品です。人気の定まった懐かしい作品ではなく、最新の作品を取り上げようという心意気がうれしくなります。

アニメのオリジナル音楽の作曲は中川幸太郎さんと黒石ひとみさん。
中川幸太郎さんはブラスを豪快にならすアクションもの(スーパー戦隊シリーズや仮面ライダーシリーズなど)の音楽で知られていますが、もともとは藝大で現代音楽を学んだ人で、しかもバリバリの前衛音楽を書いたりしていたそうです。アニメ『プラネテス』や『GOSICK』の音楽にその片鱗が聴けます。
で、『コードギアス』は一応ロボットアニメではありますが、お話は暗くてシリアスな展開が多い。派手な曲もありますが、現代音楽的な響きもたっぷり聴ける作品なのです。つまり、クラシックのオケでやるのにぴったり。

編曲はクラシック系の佐野秀典さん。このコンサートのためのオリジナルアレンジです。
もともと生演奏を前提に書かれていない原曲をホールの生演奏で鳴らすように、一部楽器を変えたり(ギターをハープに、サックスをクラリネットになど)、楽器を加えるなどしてアレンジしていました。オリジナルスコア準拠ではなく、オーケストラで鳴らすことを考えた編曲。『ウルトラセブン』のオリジナルBGMが『交響詩ウルトラセブン』になったみたいな感じ。楽団員の見せ場になるソロパートも随所に組み込まれています。

プログラムは『コードギアス 反逆のルルーシュ』と続編『『コードギアス 反逆のルルーシュ R2』の音楽を第1幕~第3幕に分けて構成した組曲になっています。
オーケストラは仙台フィルのメンバーに客演奏者を加えた100人近い大編成。
最初に演奏された「序曲」(原曲はサントラ1枚目の1曲目に収録された「0」)からスピード感と躍動感あふれる演奏で、シンフォニックロックのような趣。思わず身を乗り出してしまう。
組曲に構成された原曲は全40曲くらい。1曲1曲は1~2分程度の短い曲なので密度が濃い。2時間のコンサートでしたが、3時間聴いたくらいの充実感と疲労感がありました。オーケストラの集中力もすごかった。仙台フィルの「本気」を感じました。

欲を言えば、中川幸太郎さんにアレンジしてほしかったなあ~と思いますが、100人編成のスコア書くなんて大変ですからね。売れっ子の中川さんには難題かも。あと、原曲の録音に参加しているトロンボーン奏者の中川英二郎さん(言うまでもなく中川幸太郎さんの実弟)が客演してくれたら最高だったんだけどな~。
それから、せっかくプログラムを作ってるのに、楽曲紹介や編曲意図、原作曲者のプロフィールなどが載っていないのは、もったいないと思いました。そういう情報があれば、アニメを観てない人でもより楽しめると思います。

ともあれ、予想していた以上に本格的で、満足度の高いコンサートでした。仙台まで遠征した甲斐がありました。

注目すべきは、このコンサートが「エンターテインメント定期第1回」と銘打たれていること。
仙台フィルとバンダイナムコグループ(バンダイナムコフィルムワークス、バンダイナムコミュージックライブ、バンダイナムコピクチャーズ)が協力して進めるプロジェクトで、アニメなどのエンターテインメント作品の「音楽」を生演奏するシリーズなのだそうです。クラシックのプロオケがアニメの音楽を取り上げる例は最近ちょくちょく観ますが、定期で演奏するシリーズというのは初めてでは?
おそらくアニメ音楽の魅力を音楽ファンにも広げるとともに、アニメのファンにもオーケストラ音楽の魅力を知ってもらおうという趣旨だと思うのです。そのねらいは当たったようで、会場に来ていたのは圧倒的に若い客が多い。それも男性より女性のほうが多い印象。アニメのファン層を反映しているようです。
公演はアニメ人気に頼らず、あくまでオーケストラコンサートに徹しているのが清々しい。地元で親しまれている地方オーケストラが意欲的な試みをするというのも意義があると思うんです。この路線でこれからどんな展開があるのか見守りたいと思います。

次回は8月に『機動戦士Zガンダム』『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』の2作品のコンサートが、その次は『アイカツ!』シリーズのコンサートが決まっています。
https://www.sendaiphil.jp/e23/

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カレイドスター音楽祭

カレイドスター音楽祭

4月13日、めぐろパーシモンホール大ホールで開催された「カレイドスター音楽祭〈20周年の すごい 究極 オーケストラコンサート〉」に足を運びました。

カレイドスター愛にあふれた、すばらしいコンサートでした。

クラウドファンディングで支援者を募って実現したイベントです。目標500万円に対し、あっという間に3千万円超の支援を達成してしまうという快挙に驚きました。支援者だけでホールを満席にする人数(1000人以上)になったので、チケットの一般販売はしていません。会場を埋めたのは筋金入りのカレイドスターファンのみなさんということですね。

「音楽祭」の名にふさわしく、カレイドスターの曲がたっぷり聴ける夢のようなコンサートでした。演奏曲は約50曲。アニメの画像や映像を一切使わないという潔さもよかったです。

演奏は西谷亮指揮、パシフィックフィルハーモニアポップス東京。
オケは、弦が10・8・6・6・4、木管がフルート、オーボエ、クラリネット、コールアングレ(イングリッシュホルン)、ファゴット×各1、トランペット×2、トロンボーン×1、ホルン×4、パーカッション×4、ハープ、ピアノ×各1という編成。
ピアノは作曲・編曲の窪田ミナさん自身。
窪田さんらしい彩り豊かな音のタペストリーがホールにきらめきます。ぜいたくで幸せな空間でした。
ロマンティックな曲、抒情的な曲、軽快な曲、コミカルな曲、どれも表情豊か。ソロも達者で申し分ない演奏でした。特にそらたちの特訓シーンなどに流れるダイナミックな曲の迫力がすばらしかった。生オケを聴く醍醐味を味わいました。

出演者、観客のみなさんがカレイドスター愛にあふれていて、会場の熱気もすごかった。
作品とスタッフとファンの理想の関係を見る思いです。

2回目もあるかな。何年か経ってからでもよいので、やってほしいですね。

カレイドスター音楽祭パンフレット裏表紙

舞台「千と千尋の神隠し」

舞台「千と千尋の神隠し」

3月29日、帝国劇場で公演された舞台「千と千尋の神隠し」の夜の部を観劇しました。

観るのは初めて。NHKでこの舞台が初演されたときのドキュメンタリーが放送されて、なんかすごいことやっているので、ぜひ観たいと思っていたんですよ。

すごかったです。

大がかりで凝った舞台装置と、照明、プロジェクション・マッピングなどを使って異世界を構築。 特に第1幕は舞台上で常にセットが動き、組み変わっている。その中で芝居も続けられている。ちょっとタイミングが狂うと事故が起こりかねない。そのめくるめく感覚が理屈では理解しがたい異世界の雰囲気を作り上げている。よくぞ作ったと感嘆しました。

油屋を訪れる神々も見どころです。神様といっても妖怪みたいなもので、特異なデザインを、衣装や着ぐるみ、ライオンキング方式、マペット、操演などで動かし、芝居をさせる。いろんな技術が総合されてるなぁ。舞台を作り上げた中心はイギリスのスタッフなんですが、イギリスの舞台劇の伝統と、歌舞伎、能、特撮などの日本の伝統芸が組み合わさって完成した舞台ではないかと思いますね。

この回のキャストは、千尋が朝ドラ『カムカムエヴリバディ』現代編のヒロイン・川栄李奈、ハクが『天気の子』の主人公・森嶋帆高の声・醍醐虎汰朗、湯婆婆が『鋼の錬金術師』のエドワードをはじめ数々のアニメキャラの声でおなじみで『侍戦隊シンケンジャー』では顔出しもされていた朴ロ美(ロは正しくは王偏に路)(プリキュアファン的には『Yes! プリキュア5GoGo!』のシロップの声)と、私的にいろいろおいしい顔ぶれでした。
川栄李奈さんは3月27日が初日。まだ役がなじんでない印象がありますが、精一杯の演技に返って千尋の必死さが感じられてよかった。朴ロ美さんの湯婆婆(銭婆と二役)はさすがです。セリフの迫力、振り幅の広い演技がすばらしい。

舞台は2幕構成。不可思議な異世界をたっぷり見せる1幕に対し、2幕はいわば謎解き&解決編。映画はいろいろ謎を残して終わってしまうけれど、舞台はきれいにまとめて、しっかりテーマに決着をつける。映画とちょっと印象が変わりますね。
『ナルニア国物語』『トムは真夜中の庭で』『思い出のマーニー』などの名作児童文学の伝統があるイギリス人らしい翻案と言えるかもしれません。

音楽について。
オリジナルスコアは久石譲、音楽スーパーヴァイザーとオーケストレーションはイギリスのスタッフ。舞台の音楽監督は『ひろがるスカイ!プリキュア』『わんだふるぷりきゅあ!』の音楽を担当している深澤恵梨香。アニメ版音楽のアレンジもありますが、オリジナル曲もあったような?
舞台ではオーケストラピットもつぶしてステージにしています。オーケストラの姿が見えず、録音なのかなと思っていたら、カーテンコールのときに疑問が解けました。舞台の奥が2階建てになっていて、その上にオーケストラがいて生演奏しているのでした。びっくりしたなぁ。たぶん指揮者がモニターで舞台を見て、ヘッドフォンでマイクが拾ったセリフを聞きながら演奏している? 音楽とタイミングを合わせて芝居するシーンもあるので、これもなかなかの超絶技巧です。
アニメ版がベースになっているとはいえ、舞台版は独自の音楽なので、スタジオ録音で音楽集発売してくれないかなぁ。

カーテンコールでは客席総立ちのスタンディングオベーションとなりました。挨拶をする川栄李奈さんがなかなか立派な座長ぶり。感動しました。

帝国劇場の「千と千尋の神隠し」は3月30日が千秋楽。
このあと、愛知(名古屋)、福岡(博多)、大阪(梅田)、北海道(札幌)、イギリス(ロンドン)で公演するそうです。
すごい舞台なので、機会ががあれば、ぜひご覧ください!
https://www.tohostage.com/spirited_away/index.html

「千と千尋の神隠し」プログラム

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「ファンタジア」ライブオーケストラ・コンサート

「ファンタジア」ライブオーケストラ・コンサート

3月24日、NHKホールで開催された「ファンタジア」ライブオーケストラ・コンサートに足を運びました。

ディズニーのアニメ映画『ファンタジア』のシネマコンサートです。
演奏は佐々木新平指揮、東京フィルハーモニー交響楽団。

といっても映画を丸ごと上映するのではなく、オリジナルの『ファンタジア』(1940)と2000年に公開された続編『ファンタジア2000』から数本ずつ抜粋して(順番もばらばらに)上映・演奏するというイベント。
新旧の作風の違いも観られて面白かったです。

ふつうのシネマコンサートと違ってセリフも字幕もないので、映像と音楽に集中できるのがよい。
これはシネマコンサート向きではないか!
と思ったのですが、映像に集中しすぎてオーケストラを観ている余裕がないのが自分としてはもどかしい。

プログラムの合間に司会者のMCが入り、指揮の佐々木新平さんから楽曲のエピソードやシネマコンサートを演奏する苦心なども聞くことができました。
シネマコンサートにふつうMCは入らないんですが、今回は演奏者を休ませる意味もあるのだろうな、とあとで思いました。
ふつうの映画と違って「音楽が入らない場面」がないから、続けて上映するとずっと演奏しっぱなしになってしまいますからね。

もともとは先に録音された音楽をもとに絵を作る「プレスコアリング」の方式で制作された作品。
しかし、コンサートでは逆に絵に演奏を合わせなければいけない。なかなか大変だったと思いますね。
しかも映像と動きのタイミングがぴったり合う「ミッキーマウシング」の手法もふんだんに使われている。ふつうの映画だったら、曲の最初と最後さえ合っていればそんなに違和感がないんですが、こういう作品だと一拍一拍ぴったり合わせる必要があります。一拍たりとも気が抜けない。
指揮者の佐々木新平さんは「マラソンを走るようなもの」とおっしゃっていました。

『ファンタジア』を大画面で観るのも得難い体験でした。
生演奏で体験する価値がある作品だったと思います。

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菅野祐悟コンサート2024

菅野祐悟コンサート2024

3月9日、北とぴあ さくらホールで開催された「菅野祐悟コンサート2024」に足を運びました。

北区文化振興財団設立35周年記念事業「北とぴあ国際音楽祭2023」の一環としての開催。
北区民はチケットが割引価格で買えるので、初めて菅野さんのコンサートを聴きに来たという北区民の方も多かったと思います。

北とぴあ1

北とぴあ2

いつも派手な衣装で登場する菅野さん、今回は全身真赤なスーツでステージに現れて、拍手喝采を浴びてました。

演奏は、コロナ禍前のコンサートでおなじみだったフルオーケストラ編成ではなく、菅野さん自身によるピアノ/キーボードとダブルカルテットの弦、コントラバス(エレキベース持替)、ギター、トロンボーン、サックス各1という小ぶりな編成。
しかし、アレンジや演奏に工夫があり、満足度は高い。
よいコンサートでした。

大野克夫さんから引き継いだ劇場版『名探偵コナン』のテーマ曲を最初と最後に配し、第1部はテレビドラマの音楽中心、第2部は映画とアニメ音楽中心の選曲。
第1部では、会場のお客さんからキーワードをもらって菅野さんが即興で曲を作るコーナーも。
スタイリッシュな曲とゆるいMCのギャップが楽しく、菅野祐悟コンサート初心者にも「菅野祐悟ってどんな人?」というイメージが伝わったと思います。
打ち込みのバックトラックを流しながら演奏する現代のサウンドトラックならではの曲もあり、多彩なサウンドが楽しめました。
なかでも、ピアノ、トロンボーン、サックスのトリオで演奏された『軍師官兵衛』メインテーマがよかった。いつもはオーケストラの演奏で聴いている曲が、この日はしゃれたフランス映画のテーマ曲みたいに聴こえて新鮮でした。

クライマックスは、アニメ『PSYCHO-PASS サイコパス』からのメドレーとアニメ『ジョジョの奇妙な冒険』からの処刑用BGMメドレー。
特に『ジョジョ』コーナーでは菅野祐悟コンサートの常連さんが立ち上がって踊り始めるいつもの光景が見られ、「ああ、菅野さんのコンサートが帰って来た」と感慨深かったです(私は座ってましたけど)。

菅野祐悟コンサート2024プログラム

アンコールはオリジナルシンガー・青木カレンさんのヴォーカルで『昼顔~平日午後3時の恋人たち~』から「Never Again」と『カイジ ファイナルゲーム』からトロンボーンソロをフィーチャーした「END TITLE」、そしてこの日のために菅野さんが書き下ろしたオリジナル曲のピアノソロで終演。

サイン会に並ぶ人の長い長い列を見ながら、会場をあとにしました。

菅野さん、5月にもイベントが予定されているそうなので、楽しみにしています。

山下康介のオトユウギ Vol.1

山下康介のオトユウギ Vol.1

3月4日に銀座・王子ホールで山下康介さんのコンサート「山下康介のオトユウギ Vol.1」が開催されました。

諸般の事情により配信でリアルタイムで拝聴いたしました。

すごくよかった!

書き下ろし曲あり、音大の卒業制作の曲あり、そして、映画・ドラマ・ゲームなどの音楽たっぷり。
『信長の野望』『花より男子』『クロサギ』『この空の花 長岡花火物語』『美の巨人たち』などなど。
ハイライトは『暴太郎戦隊ドンブラザーズ』からのBGMメドレー!

小編成ゆえにメロディーやオーケストレーションのよさが際立ちますね。
演奏もすばらしい!

配信チケット販売中ですので、気になる方はぜひ!
アーカイブ配信は公演1週間後くらいから始まるそうです。

詳細とチケットは下記から
https://12do.co.jp/yamashitakosuke.html

タイトルに「Vol.1」とあるのでVol.2も期待しています!

フィルフィルコンサート「GEKIBAN!」

フィルフィルコンサート「GEKIBAN!」

2月11日にミューザ川崎シンフォニーホールで開催されたフィルフィル(フィルムスコア・フィルハーモニック・オーケストラ)コンサート「GEKIBAN! -Anime Symphonic Journeys-」に足を運びました。

よかった!
堪能しました。

まさに「こういうのが聴きたかった!」というコンサート。

60年代の『ジャングル大帝』から70年代『宇宙戦艦ヤマト』、80年代『風の谷のナウシカ』、90年代『GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊』『ポケットモンスター』『ONE PIECE』、00年代『機動戦士ガンダムSEED』『ヱヴァンゲリヲン新劇場版』、10年代『進撃の巨人』『ULTRAMAN』、20年代『機動戦士ガンダム 水星の魔女』『すずめの戸締まり』と幅広い年代をカヴァーし、かつ90年代以降が厚いプログラム。
企画にかかわったオーケストラメンバーの年齢層を反映した選曲なのでしょう。
結果、「アニメ音楽の現在」が浮かび上がる好プログラムになっていました。
また、このコンサートが「GEKIBAN」と名付けられていることに隔世の感がありますね。

演奏曲中いちばんの驚き&感激は川井憲次さんの『GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊』からの1曲「謡III-Reincarnation」。
なんと、コーラスで西田和枝社中が登場。本物ですよ!
パシフィコ横浜国立大ホールで「川井憲次コンサート2007」を聴いて以来の生演奏体験でした。
川井憲次さんがステージで曲の誕生秘話を話してくれたのも実にぜいたく。

『すずめの戸締まり』も、RADWIMPSとともに作曲を手がけた陣内一真さんとオーケストレーションを担当した戸田信子さんの対談形式で曲解説があり、非常に興味深く聴くことができました。

佐橋俊彦さんの『機動戦士ガンダムSEED』はタイムリーな選曲(選曲時は意図してなかったかもしれませんが)。「交響組曲」版のスコアだったので、オーケストラの鳴りもよく、コンサート一番の「シンフォニックなカッコよさ」を堪能しました。

続いて演奏されたのが大間々昴さんの『機動戦士ガンダム 水星の魔女』からメインテーマ「The Witch From Mercury」。ダイナミックなオーケストラに女声ヴォーカリーズが絡む曲で、重厚さとケレン味を兼ね備えた曲調はまさにガンダム。聴きごたえ満点です。

締めくくりが鷺巣詩郎さんの『ヱヴァンゲリヲン新劇場版』からの3曲。うち2曲はコンサート初演だそうで、『GHOST IN THE SHELL』に並ぶ感激でした。TV版でなく新劇場版からの選曲というのもナイス。エヴァの音楽は年々進化し、リッチになっていますから。

「あの曲も聴きたかった」と言い出すときりがないですが、オリジナルスコアの手配や権利上の問題など、さまざまな条件をクリアしての内容だそうですから、ここまで集められたことがすばらしい。特に近年の作品はコンサートで演奏するだけでも縛りがあったりしますからね。毎度ながら、フィルフィル代表・戸田信子さんの熱意と人望に感嘆します。

大変と思いますが、ぜひ第2弾を期待したい!

そして、次回のフィルフィルコンサートは8月19日にジェリー・ゴールドスミス特集だそうですよ!
こちらも今から楽しみです!

フォトセッション1

フォトセッション2

《セットリスト》

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MIQ40デビュー周年記念コンサート

MIQ40デビュー周年記念コンサート

1月7日、品川区のきゅりあん小ホールで開催された「MIQデビュー40周年記念コンサート +1新たな伝説へ」に足を運びました。

パワフルでソウルフルなヴォーカルで人気のMIQさんが、『戦闘メカ ザブングル』の挿入歌「HEY YOU!」でメジャーデビューしたのが1982年。コロナ禍で開催が延期されていた40周年記念コンサートがついに実現しました。

休憩をはさんで2時間半ほどのステージ。デビュー当時と変わらぬ、いや、さらにパワフルになったヴォーカルを堪能しした。
バックの演奏はキーボード、ドラムス、エレキベース、エレキギターの4人と女声コーラス2人のみ。シンプルな編成ゆえ、ヴォーカルの魅力が際立ちます。

ステージ風景

3月9日には大阪公演も予定されているので、楽しみにしている方のためにセットリストの紹介は控えますが、新アレンジによるアニメソングのセルフカバーやジャズのスタンダードナンバーなどは聴きどころですよ。特に印象に残ったのは、ニューミュージックの名曲のカバー。いやー、よかった。

あらためて、MIQさん、デビュー40周年おめでとうございます!

東京公演は終了しましたが、現在、配信チケットを販売中。1月14日23時59分まで観られるので、会場に行けなかった方も、もう一度楽しみたいという方も、ぜひご利用ください。

MIQデビュー40周年記念コンサート配信チケット販売サイト(1月14日20:00受付終了)

会場で販売していた40周年記念アルバムはこちらで購入できます。

MIQデビュー40周年記念セルフカバーアルバム「+1新たな伝説へ」

アルバム・ジャケット

「男声合唱のためのウルトラセブン」楽譜出版記念コンサート

「男声合唱のためのウルトラセブン」楽譜出版記念コンサート

12月4日、渋谷さくらホールで開催された「男声合唱のためのウルトラセブン」楽譜出版記念コンサートに足を運びました。

冬木透作編曲による楽譜本『男声合唱のためのウルトラセブン』(全音楽譜出版社)が12月15日に発売されることを記念したコンサートです。

1部は蒔田尚昊名義によるオリジナル作品。

  • Ave Maria
  • ガリラヤの風かおる丘で
  • きみの笑顔により添って
  • Ave Regina
  • Ave Maris Stella
  • 『智惠子抄』より あどけない話/千鳥と遊ぶ智恵子/レモン哀歌

などが演奏されました。はじめて聴く曲もあり、冬木透音楽の原点としてもとても興味深かったです。

2部は楽譜本に収録された作品から。

  • ウルトラセブンの歌
  • ウルトラ警備隊
  • ウルトラ母のバラード
  • 怪獣のレクイエム
  • ウルトラセブンのバラード
  • 哀惜のバラード
  • ゾフィーのバラード
  • ULTRA SEVEN
  • 戦え!ミラーマン
  • ワンダバ・メドレー
  • ウルトラマン賛歌
  • 希望の塔デュアダバダン

力強い熱唱で、すばらしかったです。特にワンダバ・メドレーは圧巻でした。

最後は冬木先生の指揮で会場みんなで「ウルトラセブン」を歌って終演。

先行販売されていた楽譜も買いました。
全曲、冬木先生自身の編曲で、冬木先生による各曲コメントもついているので貴重です。

「男声合唱のためのウルトラセブン」

終演後、冬木先生に久しぶりにお会いしてご挨拶しました。
まだまだお元気で活躍してほしいです。

カテリーナ古楽合奏団「祝祭」

カテリーナ古楽合奏団「祝祭」

11月19日、北とぴあ つつじホールで開催されたカテリーナ古楽合奏団コンサート「祝祭」に足を運びました。

カテリーナ古楽合奏団は1973年に結成された古楽器を演奏する楽団で、今年結成50周年。その記念コンサートです。

サウンドトラックを聴いていると、民族楽器(古楽器)を使った曲にしばしば出会います。洗練された現代の楽器では聴けない、素朴で不思議な音を出す楽器が多い。
楽器博物館などで古楽器を見ることはできますが、実際にどんなふうに演奏され、どんな音が出るのか、生で見る機会はなかなかありません。
そんなことで、このコンサートはサントラファン的にも興味深いものなのでした。

演目は13世紀~16世紀の西洋や中東の曲が中心。聴きなじみはないですが、西洋音楽のルーツを聴くようで面白い。
数100年前の人々がこんな音と音楽を聴いていたのかと想像するとロマンティックな気分になるし、時代も地域も異なる音楽がひとつのステージで演奏されることに現代的な意義も感じます。
有意義なコンサートでした。

実はカテリーナ古楽合奏団のメンバーである上野哲生さんを私は知っていました。
80年代に放送されたTVアニメ「おはよう!スパンク」の音楽を担当した作曲家です。当時はポップスを書いていたが、紆余曲折あって今は古楽器の演奏に打ち込んでいることをインタビューでうかがいました。
その上野さんが演奏する姿を見、音を聴けたことも、今回の収穫でした。

今回のコンサートのプログラムを中心にしたニューアルバムが発売されるそうです。
カテリーナ古楽合奏団のサイトで予約・購入ができます。
https://arujya.wixsite.com/mysite/catherina

ステージに並ぶ古楽器(開演前に)