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2024年、あけましておめでとうございます

2024年、あけましておめでとうございます

あけましておめでとうございます。

本年もよろしくお願いいたします。

長年温めているけれど実現していない企画を、今年はなんとかしたいなぁ…と願ってます。

訃報:山田太一さん

訃報:山田太一さん

TVドラマ『岸辺のアルバム』『早春スケッチブック』『ふぞろいの林檎たち』などで知られる脚本家の山田太一さんが11月29日に老衰のため亡くなりました。89歳でした。

心より哀悼の意を表します。

折しも、10月に発売された『山田太一未発表シナリオ集』(国書刊行会)を読んで、感銘を受けたばかりでした。

『ふぞろいの林檎たちV/男たちの旅路〈オートバイ〉: 山田太一未発表シナリオ集』
https://www.amazon.co.jp/dp/4336074836/

テレビドラマの脚本家に注目が集まり、シナリオ集が続々と発売された80年代。私も倉本聰作品と山田太一作品をよく読んでいました。
とりわけ思い出深いのは鶴田浩二が主演した『男たちの旅路』です。
『山田太一未発表シナリオ集』には『男たちの旅路』の映像化されなかった幻のエピソード「オートバイ」が収録されています。第4部の2話として書かれたもの。なぜ映像化されなかったかというと、若い警備員・杉本陽平役の水谷豊がスケジュールの都合で出演できなくなってしまったから。「オートバイ」での水谷豊(杉本陽平)は重要な役割です。そして、ほかの登場人物では代わりにならない、ということでエピソード自体が没になったのでした。

このエピソードに限らず、『山田太一未発表シナリオ集』に収録された作品は、出来が悪かったから没になったわけではない。今読んでも、心に響く作品ばかりです。観たかったなあ。

想い出に残る作品の数々をありがとうございました。

脚本家の山田太一さん死去(ヤフーニュース)

訃報・坂本龍一さん

訃報・坂本龍一さん

かねてより闘病されていた作曲家の坂本龍一さんが3月28日に亡くなりました。
4月2日に所属レーベルのエイベックスより発表がありました。

大変残念です。心より哀悼の意を表します。

YMO(イエロー・マジック・オーケストラ)で日本にテクノポップを確立し、映画音楽でも活躍。『戦場のメリークリスマス』(1983)で英国アカデミー賞作曲賞を、『ラストエンペラー』(1987)で米アカデミー賞作曲賞を受賞するなど、その仕事は高く評価されました。

アニメ映画『王立宇宙軍 オネアミスの翼』(1987)の音楽は、誰も聴いたことがない異世界の音楽をまるごと創造するという、かつてない挑戦的な作品でした。アニメ音楽で何ができるか、その可能性を広げた作品だったと思います。

すばらしい音楽の数々をありがとうございました。

【坂本龍一】ご報告(エイベック・スポータルサイト)

音楽家 坂本龍一さん死去(NHK Webサイト)

ネオ書房@ワンダー店

ネオ書房@ワンダー店

4月2日にオープンする神保町のシェア本棚型書店、ネオ書房@ワンダー店(ブックカフェ二十世紀)に「劇伴倶楽部」で棚をひとつ借りました。
映画評論などでおなじみの切通理作さんが店主のお店です。

ネオ書房@ワンダー店(店主:切通理作)
101-0051
東京都千代田区神田神保町2-5-4 @ワンダー2階
営業時間:11時~19時(日曜日11時~18時)
定休日:毎週月曜日(他メンテナンスの為の臨時休業あり)
※Webサイトは準備中とのこと

シェア本棚とは店内の書棚をひと枠単位で借りて、棚主(借りた人)がそこで展示販売ができるというしくみ。棚主の小さなお店です。

当面はショーケースを兼ねて個人誌「劇伴倶楽部」のバックナンバーと《SOUNDTRACK PUB》レーベルのCDを置いています。

ゆくゆくは、不要になったCD・レコードや資料本なども放出しようと考えています。

店内でイベントもできるそうなので、新譜リリース時には発売イベントもできればよいなと。

神保町へおいでの際はぜひお立ち寄りください。

なお、4月8日15時からお店でオープニングパーティがあります。棚主とお客さんの交流会、説明会を兼ねているそうなので、棚を借りてみようかなと思ってる方もぜひどうぞ。一般の方はドリンク代500円で参加できます。

追悼・松本零士さん

追悼・松本零士さん

漫画家の松本零士さんが2月13日に亡くなりました。

『宇宙戦艦ヤマト』は自分の人生を変えた大きな作品です。
『ヤマト』がなければ、今の仕事はやってなかったと思うくらい。
それ以前から『少年マガジン』や『COM』『SFマガジン』などで松本零士作品に触れていました。
『宇宙戦艦ヤマト』の放送が始まるとき、「あの松本メカが動くのか!」とワクワクしたことを覚えています。
独特のペーソスのあるSF短編や戦場まんがシリーズが好きでした。

1977年に劇場版『宇宙戦艦ヤマト』が大ヒットし、次々と松本零士原作アニメが制作されました。
なかでも『宇宙海賊キャプテンハーロック』『銀河鉄道999』は音楽的にも後世に大きな影響を残した作品です。
『ヤマト』『ハーロック』『999』がなかったら、今のアニメ音楽はなかったか、違った進化の道筋をたどっていたでしょう。

自分が関わった仕事では、「松本零士音楽大全」で『宇宙戦艦ヤマト』『宇宙海賊キャプテンハーロック』『銀河鉄道999』(TVシリーズ&劇場第1作)を、「銀河鉄道999 エターナル・エディション・シリーズ」で『銀河鉄道999(TVシリーズ)』の構成を手がけたのが大切な思い出です。

たくさんの心に残る作品をありがとうございました。

ご冥福をお祈りいたします。

漫画家・松本零士さん、85歳で死去(Yahooニュース)

2023年、あけましておめでとうございます

2023年、あけましておめでとうございます

あけましておめでとうござます。

本年もよろしくお願いいたします。

訃報・大野松雄さん

訃報・大野松雄さん

音響デザイナーとして多方面で活躍した大野松雄さんが12月19日に亡くなりました。
大変残念です。
ご冥福をお祈りいたします。

大野松雄さんは1963年放送開始の連続TVアニメ『鉄腕アトム』で音響効果を担当。
電子音響やテープ加工を施した効果音で未来の世界の音をまるごと創り出しました。
特にアトムの足音は有名です。

大野さんは効果音だけでなく、初期には毎回フィルムを観て音楽プランを作り、それをもとに高井達雄さんが音楽を書いていたそうです。
音楽・効果音を含む「音響演出」全般を担ったのが大野さんでした。

大野さんの演出はのちに田代敦巳さんに引き継がれ、田代さんは『ジャングル大帝』『ルパン三世(第1作)』などアニメ史に残る作品の音響監督として活躍することになります。
また、大野さんのもとで音響効果を手伝っていたのが柏原満さん。のちに『サザエさん』『宇宙戦艦ヤマト』『ドラえもん』などの効果音を担当する方です。
大野松雄さんがいなければ、『ジャングル大帝』や『宇宙戦艦ヤマト』の印象的な「音」もなかったかもしれない…と思うと、大野さんの偉大さをあらためて感じます。

映画『惑星大戦争』の効果音も手がけ、その音は音楽と一緒にレコードにも収録されました。

2009年7月に大野さんの初ライブ「大野松雄~宇宙の音を創造した男」が開催されたとき、「鉄腕アトム 音の世界」のレコードを持って行ってサインをもらっていたら、そのようすが撮影されていて、ニュースに一瞬流れたのも思い出です。

ありがとうございました。

どうぞ安らかに。

Facebook公式ページ「音響デザイナー 大野松雄」の訃報

惑星大戦争

大野松雄の音響世界1

大野松雄の音響世界2

大野松雄の音響世界3

鉄腕アトム 音の世界(CD)

京都太秦映画村

京都太秦映画村

12月の頭に京都へ行く用事があり、ついでに太秦映画村に寄ってきました。

実は入るのは初めて。
前から行きたいと思っていたのですが、機会がなかったのです。

昔は太秦映画村といえば時代劇のイメージでしたが、今は特撮もアニメも、なんでもあり。
子どもから大人まで楽しめるアミューズメントパークになっていました。

入口の建物「パディオス」に入るといきなり仮面ライダーがお出迎え。

仮面ライダーたち(1)

1971年の『仮面ライダー』第1作放映から50周年を記念してでしょうか、歴代仮面ライダーが勢ぞろいしていました。
劇場版ポスター(近年のものだけですが)や『仮面ライダーセイバー』の撮影で実際に使用された「ファンタジック本屋かみやま」のジオラマ(キャストサイン入り)なども展示されていて盛り上がります。

仮面ライダーたち(2)

仮面ライダーたち(3)

仮面ライダーたち(4)

「仮面ライダー」劇場版ポスターギャラリー

劇場版セイバーで使用されたジオラマ

別の一角では「東映アニメギャラリー」の展示も。

東映アニメ映画ポスターや作品資料、フィギュアなどが展示されています。
コンパクトですが、ぎっしり詰まった感があって楽しい。
資料もなかなか貴重です。

東映アニメポスター(1)

東映アニメポスター(2)

東映アニメポスター(3)

東映アニメ制作資料(1)

東映アニメ制作資料(2)

東映アニメキャラクターフィギュア

パディオスを出ると、いよいよ映画村のメインとなる時代劇オープンセットです。

オープンセット(1)

続きを読む:京都太秦映画村

訃報・水木一郎さん

数々のアニメ・特撮ソングを歌った歌手の水木一郎さんが12月6日に亡くなりました。

少年時代から聴いてきた曲の数々…
NHK BS2「熱中夜話」<アニメソングナイト>に一緒に出演したこと…
『スーパーアニソン作曲家 渡辺宙明大全』のために渡辺宙明先生と対談していただいたこと…

感謝と思い出は尽きません。
ありがとうございました。

心よりご冥福をお祈りいたします。

☆所属事務所イエローバードよりの訃報
https://mizuki-spirits.com/32925

追悼・池田憲章さん

評論・編集・プロデュースなど多岐にわたり活躍した池田憲章さんが、10月17日に亡くなりました。
享年67歳。かねてより病気療養中だったそうです。

私にとっては、大きな影響を受けた特撮・アニメ研究の大先輩であり、恩人のひとりです。

池田憲章さんとは旅先で会うことが多く、特にSF大会ではよくお目にかかりました(こちらもほぼ毎年参加していたので当然ですが)。

合宿型の大会だと「憲章さんが夜通し語る部屋」というのがあり、夜中に聞きに行くと憲章さんがすごいテンションで語っている。座をはずして、しばらくほかの部屋をのぞいて帰って来ると、まだ同じテンションで話し続けている、なんてことがよくありました。

仙台で「ウルトラセブンの歌」をザ・ワンダーズ(=ジ・エコーズ、つまりオリジナルメンバー)が新録音するという企画があり、取材がてら見学に行きました。そのときも憲章さんと一緒になりました。
駅からスタジオまで歩いて向かっているときだったのか…、商店街を通りながら憲章さんが隣を歩く私にすごい勢いでいろいろ話しかけてくるのです。
なにかの拍子に私がちょっと遅れて、憲章さんが先に行ってしまいました。ふと前を見たら、憲章さんが通りすがりのおばさんを相手にすごい勢いで話し続けています。おばさんは何事が起ってるのかわからずきょとんとしている。
あわてて追いついて、おばさんと位置を入れ替わり、憲章さんの隣に戻りました。憲章さんはやはりすごい勢いで話し続けている。たぶん、途中で話している相手が変わったことに気が付いてなかったでしょう。
憲章さんといえば思い出すエピソードです。

体調を崩されてからはSF大会に車椅子で参加されてました。海外ドラマを語る部屋を主催し、話はいつもと変わらぬ名調子でした。憲章さん元気だなぁと少し安心しました。

最後にお会いしたのは資料性博覧会の会場だったか…。このときも車椅子で見に来てくれました。

憲章さんはよく、「今こんなもの書いてるんだよ」と言って大きなバッグから未発表の原稿のゲラ刷りを出して読ませてくれました。でも特に感想を求めるわけでなく、そのゲラを「いいから持っておいて」とくれるのです。読んでもらうのがうれしそうでした。

晩年の憲章さんからよく言われたのは、「今のうちに○○さんとか○○さんに話を聞いておいてほしいんだ。今ならまだ聞けるんだから」。それは、自分がやりたいんだけどもう時間がない、ということだったのかもしれません。

評論や編集という仕事は時代と密着していて、あとの時代からはなかなか評価されづらいものです。特に雑誌記事やテレビに出演しての解説などは残りづらいし、忘れられてしまう。
特撮やアニメが広く社会に受け入れられ、人気を集めている今では、そうでなかった時代は想像しづらいです。今となってはインターネットやスマートフォンがなかった時代が想像しづらいのと同じように。
しかし、憲章さんたちが社会的にはほとんど無視されていた作品を語り、評価し、これまでと違う視点で観ることを教えてくれなかったら、たぶん今のような状況はないわけです。そのことを身に染みてわかっているのは「以前」と「以後」を体験している私と同世代の特撮・アニメファンでしょう。憲章さんをはじめ、多くの先達の方々には感謝しかありません。

池田憲章さんの仕事には、朝日ソノラマの「ファンタスティックコレクション」シリーズや徳間書店のSV(スーパーヴィジュアル)シリーズ、単行本『アニメ大好き! ヤマトからガンダムへ』、雑誌『アニメック』の連載など、大いに啓発され、刺激を受けました。
なかでも私が個人的にリスペクトしているのは、1987年にCBSソニーから発売されたLPレコード(CD版も発売)「栄光の東映テレビ映画 懐かしのテーマ大全集(1959~1970)」と1996年に日本コロムビアから発売された10枚組CD-BOX「東映動画長編アニメ音楽大全集」。前者は1959年~1970年の東映テレビ映画のテーマ音楽を、特撮ヒーローのみならず、大人向け時代劇、現代劇まで収録したアルバムで、ライナーノーツには渡辺岳夫や小川寛興らのインタビューも掲載。後者は『白蛇伝』に始まる東映動画長編漫画映画の貴重な音楽テープを発掘して音盤化した画期的なBOX。解説書も充実した内容ですし、いまだこのBOXでしか聴けない音源があります。いずれも原点をしっかりアーカイブして残そうという強い思いが感じられます。

憲章さんとのおつきあいは、それほど長く、深かったわけではありませんが、私は勝手に「バトンを渡された」ような気持ちでいます。たぶん憲章さんはたくさんのバトンを持っていて、種を蒔くようにそれを残していったのでしょう。私は自分にできることで、思いを継いでいきたいと思います。

池田憲章さん、ありがとうございました。どうぞ安らかに。

訃報:日本SF作家クラブのTwitterより
https://twitter.com/sfwj/status/1601534997646946306

「池田憲章さんてどんな人?」という方は、中島紳介さんのこちらの著書をお読みください。
PUFFと怪獸倶楽部の時代 ―特撮ファンジン風雲録―

ファンタスティックコレクション ウルトラセブン SVシリーズ スーパーマリオネーション

アニメ大好き!ゴジラ99の真実

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