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ゾーイの超イケてるプレイリスト

 : アルバム・ジャケット

ミュージカルといえば、昨年スーパードラマTVで放送されて気になっていたのが『ゾーイの超イケてるプレイリスト』というドラマ。
最近、シーズン2放送前に集中放送されたので初めて観ました。

格別ミュージカル好きというわけでもないのですが、これは実に楽しかった。

IT企業に勤めるゾーイは、とある事故をきっかけに突然他人の声がミュージカルになって聞こえるようになる…という設定のドラマ。
ゾーイが街を歩いていると、道行く人が突然歌い踊り出す、というミュージカル特有の状況が起こって、ゾーイは驚いてしまう。でも、それはゾーイに見えているだけ。現実には誰も歌ったり踊ったりしていないのです。
ミュージカルの違和感を笑いに置き換えたコメディですね。

この設定を知ったとき、往年の人気ドラマ『アリー My Love』に出てくる妄想シーンみたいなものかと思ってたんですよ。
『アリー My Love』でも主人公のアリーが小人を見たり、同僚を巨大トンカチで叩き潰したり描写がある(あったと思う)。アリーの心の中の妄想です。
ゾーイの場合も、周囲の人がふつうにしゃべっていることやゾーイが想像したことが、ミュージカルになって見えてるのかと…。

ところが、実はゾーイが聞いているのは、その人が心の中に隠している本音。つまり、ゾーイは人の心が読めるのです。
ミュージカルは実はテレパシーの描写だったのですよ。これはびっくりしました。
SFドラマだったのかぁ。

SFといっても基本はラブコメなので、ゾーイの能力をめぐって秘密機関が暗躍するようなことはない。
ゾーイの力は恋愛や友情、家族の問題を解決するため(とギャグのため)に使われるだけ。
ゾーイは自分の力をコントロールすることができず、町中でも職場でも実家でも、突然(自分にしか見えない)ミュージカルが始まってしまうので困惑する。ゾーイにとってはありがたくない、やっかいな能力なのです。
この、あまり役に立たない超能力描写は、SFとしても現代的。コニー・ウィリスの『クロス・トーク』を思い出してしまいました。

あるエピソードでは、同僚が突然歌い出して、ゾーイが「また始まった…」と無視していると、実はそれは仲間がしくんだフラッシュモブだった(つまり実際に歌っていた)というギャグがあり、笑ってしまいました。

コメディとはいえ、ミュージカルシーンはなかなか本格的。かの『ラ・ラ・ランド』の振付師も参加しているというのですから。
それにゾーイを始め、歌って踊れる役者をキャスティングしているのもすごい。メインキャストだけでなく、脇役や端役に至るまで、いざとなるとミュージカルができる人をそろえている。
こういうところは、向こうの俳優の層の厚さを感じます。

劇中のミュージカルシーンで歌われているのはオリジナルナンバーではなく、すべて既成曲。
ポップスのヒットナンバーなどが使われています。
洋楽に詳しかったら、「ここでこの歌か!」という楽しみ方もあるのでしょう。

今は先週から放送が始まったシーズン2を楽しみに観ています。しかし、本国では人気が伸びず、シーズン2で終わっちゃったそうなのです。残念。

ゾーイの超イケてるプレイリスト(スーパードラマTVの番組紹介ページ)

各エピソードで使われた曲がデジタルアルバムとして配信されています。

 : アルバム・ジャケット

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