劇伴倶楽部 > 腹巻猫ブログ > 映画『時には昔の話を』

映画『時には昔の話を』

映画『時には昔の話を』

映画『時には昔の話を 森山周一郎 声優と呼ばれた俳優』
https://tokiniha.ver-bijou.com
アップリンク吉祥寺で観てきました。

俳優・声優の森山周一郎さんのドキュメンタリー映画です。
(森山さんは声優と呼ばれることを好まなかったそう)

完成・公開は森山さんが亡くなったあとになってしまいましたが、もともとは森山さんの証言を残すために企画された作品。
生前の森山さんのインタビュー映像がたっぷり観られます。

先日観た『その声のあなたへ』同様に黎明期の吹替の話が聞けて興味深いですが、それ以上に森山さんが語る激動の芝居人生がすごく面白い。
劇団東芸が立ち上がり、森山さんがそこに参加して役者として活躍を始める。
舞台は私もなじみ深い高田馬場。
森山さんが思い出の土地をめぐる場面があり、「あー、あそこか!」と思うことしばしば。
森山さんと関わった方々へのインタビューも森山さんの人柄が偲ばれてしみじみとします(笑えるエピソードも多し)。

上映後、小原正至監督と音楽を担当したシンガーソングライターのサカノウエヨースケさんのトークがあり、音楽作りの裏話が聞けて貴重でした。
監督と細かくやりとりしながら作っていったとか。
監督がテンプトラック(仮の曲)を付けていたシーンにサカノウエさんがけっこう攻めた曲を付けたら、監督が曲に合わせて編集を変えたとか。
メインテーマはサカノウエヨースケさんがオリジナル曲として発表していた「NEW HOPE」をアレンジした曲だそうです。

主題歌は加藤登紀子さんが『紅の豚』の主題歌「時には昔の話を」を新録音。その経緯はパンフレットに書かれています。 パンフレットの表紙は小原正至監督が描いたイラスト。アニメ映画も作る方なので絵もうまい。

アップリンク吉祥寺での上映は11月3日までなので、気になる方はお早目に。

「時には昔の話を」写真01
小原監督(左)とサカノウエヨースケさん(右)

「時には昔の話を」写真02
劇場に展示されている『風の谷のナウシカ』と『紅の豚』のビジュアルボード
(森山周一郎、加藤登紀子、島本須美のサイン入り)

「時には昔の話を」写真03
パンフレットの表紙

以下余談。

字幕で「プロデューサーの鏡」って表記されてたのが気になりました。
わざと? 「鑑」の誤記でしょうね。

サカノウエヨースケさんは「ドキュメンタリーの劇伴」という言い方をしてました。 ドキュメンタリーだと「劇伴=劇の伴奏」でない気がしますが、やっぱり現場ではそう言いますよねー。「サウンドトラック」が本来の意味を離れて背景音楽をさす言葉として定着したようなもので。