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フィルフィル・コンサート「Tribute to Japanese Composers」

フィルフィル・コンサート「Tribute to Japanese Composers」

8月16日、東京オペラシティコンサートホールで開催されたフィルフィル(Filmscore Philharmonic Orchestra)のコンサート「Tribute to Japanese Composers 日本のフィルムスコア 歴史と継承」に足を運びました。
オリジナルスコアにこだわってサウンドトラックのコンサートを開催しているフィルフィル。今回のテーマは「日本の作曲家」。
なかなか意欲的なプログラムで楽しめました。

日本の映像音楽を取り上げるコンサートは近年増えてきたものの、50~70年代作品中心とか、特撮映画中心とか、けっこう偏ったプログラムになっているのが実情です。
今回は50~60年代の作品から70~90年代を経て2000年以降まで、幅広く取り上げられていたのが画期的。
個人的には大谷幸さんの『ガメラ大怪獣空中決戦』の音楽(ライブ初演)、佐藤直紀さんの『ALWAYS 三丁目の夕日』の音楽が聴けたのが感激でした。佐藤直紀さんの作品(『三丁目の夕日』に限らず)は人気があるのになかなかコンサートにかかる機会がないんです。

プログラムは第1部が「温故知新ー日本人作曲家の偉大なる礎ー」と題して、伊福部昭、芥川也寸志、武満徹、坂本龍一の作品を。
第2部は「再び輝くその日を信じて…―日本の時代劇ー」と題して、大島ミチル、服部隆之、吉松隆、吉俣良、菅野祐悟、池辺晋一郎の作品を。
第3部は「輝ける日本の未来へー現代日本の傑作スコアセレクションー」と題いて、久石譲、大谷幸、佐藤直紀、渡辺俊幸、やまだ豊、澤野弘之の作品を演奏する構成。

第2部が異色で、「時代劇」をテーマにしながらNHK大河ドラマ音楽が大半を占めていたあたり苦心がしのばれます(オリジナルスコアを手配する都合でしょうか…)。このコーナーに入っていた「TV時代劇メドレー」が実に楽しかった。

過去にフィルフルで取り上げられた作品とは重ならないように選曲されており、冨田勲、田中公平、川井憲次、鷺巣詩郎らの作品は一度「GEKIBAN」特集で演奏したので今回は入らなかったのでしょう。
アンコールは「男はつらいよ」と「戦場のメリークリスマス」。「戦メリ」の演奏は掉尾を飾るにふさわしい熱の入った力演でした。

こういうプログラムは「あの作品が入ってない」「あの作曲家はどうした?」と言い出すとキリがないのですが…
あえていえば、日本の作曲家特集に佐藤勝作品がないのは「画竜点睛を欠く」感があって、とても残念でした。
なんとか入れてほしかった。

さて、フィルフィルの次回公演は2026年3月20日(金・祝)17:00開演、横浜みなとみらいホールで特集「Symphonic Journey - A Tale of Fantasy Film Music -」だそうです。
チケット一般販売の情報はフィルフィル公式サイトでチェックしてください(まだ発表前です)。
https://www.filmscorephil.com

ステージに置かれたグッズ

終演後のフォトセッション

セットリスト