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対決!劇伴作曲家 和田薫 VS 山下康介

対決!劇伴作曲家 和田薫 VS 山下康介

1月9日、渋谷のさくらホールで開催された「対決!劇伴作曲家 和田薫 VS 山下康介」に足を運びました。

映像音楽(劇伴)の分野で活躍するふたりの作曲家が、交互にそれぞれの作品を演奏する、あまり例のないスタイルのコンサート。
ふたりのピアノデュオあり、テーマを決めての作曲対決あり、純音楽あり、劇伴ありのバラエティに富んだ内容で、予想以上に楽しみました。

演奏は、弦x5(ヴァイオリンx2、ヴィオラx1、チェロx1、コントラバスx1)、フルート(リコーダーほか持ち換え)x1、クラリネットx1、ホルン×2、ハープx1、パーカッションx1、ピアノx1の12人編成(曲によって人数は異なる)。
ピアノは作曲家自身が担当。
ふたりのオーケストレーションの巧みさもあって、小編成ながら、みごとな響きを聴かせてくれました。
劇伴ってこのくらいの編成で録音することも多いので(70年代はこんな感じ)、むしろなじみのあるサウンドに聴こえます。

本編は2部に分かれ、前半は作曲対決と純音楽、後半はアニメ・ドラマなどの音楽(劇伴)を中心にしたプログラム。

作曲家が自発的にテーマや技法を選んだ純音楽作品は、さまざまな制約を受ける商業音楽にはない自由さと個性があり、純粋に音の世界へ引き込まれます。
山下さんの「Autumn2025」は弦合奏による抒情的で瞑想的な作品。山下さんが手がけた大林宣彦監督の映画音楽に通じるリリシズムが心に響きました。
和田さんの「弦楽四重奏のための3つの断章」は変拍子を多用して日本人的な表現を追求した現代音楽らしい作品。劇伴ではここまで徹底した表現はなかなかできませんが、スパイス的に入れると効果絶大。それがたっぷり聴けて堪能しました。

メインは後半の劇伴音楽ですね。
山下さんの「ちはやふる」(アニメ版)は大好きな作品で、以前、洗足学園のコンサートでも聴いて感激した記憶があります。5音からなるモティーフをさまざまに展開させて、ちはやふるの世界、競技かるたの緊迫感などを描写する、山下さんの技が光ります。
「花より男子」(実写版)は山下さんの一般ドラマのヒット作。ロマンティックで明るいメインテーマはファンも多く、3月には「花より男子」単独のコンサートが開催されるとか。これは楽しみ。
そして、2024年~2025年に放送された「ドラゴンボールDAIMA」。なんと「ドラゴンボール」シリーズの初代作曲家・菊池俊輔へのオマージュを込めて書き上げたそうです。わかりやすくストレートな音楽は、王道の子ども向けアニメ音楽の魅力にあふれています。

和田薫さんの1作目は「金田一少年の事件簿」シリーズのテーマメドレー。作品ごとにメロディーやアレンジは違えど、全体として金田一少年の世界になっている。年代の違う作品の音の変遷を追ってみるのも興味深いです。
「犬夜叉」は言わずと知れた、海外でも人気の和田さんの代表作。フルオーケストラの「犬夜叉オーケストラコンサート」を聴いたことがありますが、今回の小編成版も勢いがあっていい。私の隣の席に座っていたのが海外の方で、この曲が始まったら大興奮していました。
そして最新作「らんま1/2」。和やアジアのテイストを入れた、和田さん得意のサウンドです。昨年12月にサントラ・アルバムが発売されたばかりの作品を生で聴けるのがうれしい。

アンコールに、ふたりが手がけたアニメ「パズドラ」シリーズから、山下さんの「パズドラクロス」と和田さんの「パズドラ」の音楽を演奏して終演。「パズドラクロス」はサントラ・アルバムが発売されていないそうで、貴重な演奏になりました。

聴く前は「どんなことになるんだろう?」と思っていましたが、なかなか刺激的で面白いコンサートでした。内容も演奏もよかった。難を言えば、MCが早口でやや聞き取りずらかったことかな。

チケットは一般と学生の2種類で、学生(小学~大学生ほか各種学生)が一般の半額に設定されており、多くの若い人が参加できたのではないかと思います。コンサートを聴いて、音楽や劇伴に興味を持ってくれたらうれしいなぁ。

和田薫VS山下康介 公演プログラム