すぎやまこういちの交響宇宙
10月19日、東京芸術劇場コンサートホールで開催された東京都交響楽団(都響)のコンサート「すぎやまこういちの交響宇宙」に足を運びました。
「創立60周年記念 都響スペシャル」と冠がついたこのコンサート、すぎやまこういちの「交響曲《イデオン》」と「カンタータ・オルビス」が演奏されると、サントラファンのあいだではチケット発売前から話題になっていました。
「交響曲《イデオン》」も「カンタータ・オルビス」もレコーディング用の録音はありましたが、コンサートの形で演奏されるのは初めてです。
会場は都響のファンや『伝説巨神イデオン』のファン、サントラファンなどでほぼ満席。
すばらしいコンサートでした。
50人の混声合唱を伴った「カンタータ・オルビス」も、大編成の 「交響曲《イデオン》」も、アンサンブルに乱れがなく、すぎやまこういち先生の音楽性を存分に引き出す演奏でした。
「ドラゴンクエスト」ですぎやま先生と縁の深い都響ならではの敬意と愛情のこもった演奏だと感嘆しました。
「カンタータ・オルビス」に始まり「カンタータ・オルビス」に終わる構成もよかった。
1曲目が「カンタータ・オルビス」だったので意表を突かれましたが、「交響曲《イデオン》」のあとのアンコールにもう一度「カンタータ・オルビス」が聴けて感動。テレビ放送終了後に「交響曲《イデオン》」が録音され、そのあとに劇場版が制作されて終曲として「カンタータ・オルビス」が書かれたので、物語的にもこの順で完結するんです。
しかも、1曲目が劇場版のラストだとしたら、その後、ふたたび人類は同じ道をたどってイデの発現に至る…と解釈することもできる。
コンサート全体が輪廻転生を表現しているんですね。
「ドラゴンクエスト」ですぎやまこういち作品と縁の深い都響の、すぎやま先生への敬意と愛情が感じられるコンサートでした。
「交響曲《イデオン》」と「カンタータ・オルビス」は、これからもコンサート用作品として演奏されることを願っています。
都響では「すぎやまこういちの交響宇宙」というプログラムをぜひシリーズ化して、『劇場版 科学忍者隊ガッチャマン』『サイボーグ009』『シリウスの伝説』などのすぎやま作品も演奏してほしいです。