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アニソン大全

アニソン大全

発売されたばかりの『アニソン大全』を読みました。

『アニソン大全』
澄川龍一著
祥伝社刊

名曲ガイドともディスクガイドとも違う、ジャンルとしてのアニメソングを解説した、意外となかったタイプの本です。

私、『日本懐かしアニソン大全』という本を(共著で)出したことがありますが、それとはぜんぜん関係ありません。

その『日本懐かし…』が昭和のアニソンしか紹介していなかったのに対し、本書『アニソン大全』は90年代以降から現在(2020年代)のアニソンに多くのページが割かれているのが特徴。

私もよくわかっていなかった、多様化が進んだ90年代以降のアニソン動向について、簡潔にまとめられていて参考になります。

さながら、アニソンの大海に漕ぎ出すための羅針盤といったところ。

著者は雑誌『リスアニ!』の編集長を務めていた方。本書が単著デビューだそうです。

最近のアニソン動向に興味のある人はぜひご一読を。
特に「昭和のアニソンと違って、今のアニソンは、作品と関係の薄いタイアップばかりだろう」なんて思ってる人にはぜひ読んでほしい1冊。

プレスリリース
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000029.000051460.html

Amazon
https://www.amazon.co.jp/dp/4396618557

追悼・天沢退二郎さん

追悼・天沢退二郎さん

詩人・作家・フランス文学者・宮沢賢治研究家の天沢退二郎さんが25日に亡くなりました。
とても残念です。

☆天沢退二郎さん死去 仏文学者、賢治研究
https://www.tokyo-np.co.jp/article/227877

長編ファンタジー『光車よ、まわれ!』は、たしか小学5年生の誕生日に買ってもらった本。
自分で選んだのではなく、「本屋の店員がこれがいいと言っていた」と親が買ってきたのです。
一読、衝撃を受け、以来、愛読書になりました。

その後、ファンタジー「オレンジ党」シリーズや幻想童話集『夢でない夢』、長編『ねぎ坊主畑の妖精たちの物語』などを追いかけて読み、天沢さんの現代詩や評論、翻訳にも手を伸ばしました。

『少年と川』『マリクロワ』など、フランスの作家アンリ・ボスコの作品を読んだのも天沢さんが翻訳を手がけていたから。

大人になってから宮沢賢治をちゃんと読んだのも天沢さんの影響。

天沢さんの幻想文学論や詩人ならではの言葉のセンスには大いに刺激を受けました。

2004年に『光車よ、まわれ!』のハードカバーが復刊されたとき、トークイベントに行ってサインをもらいました。
奥様でイラストレーターのマリ林さんからも一緒に。
「子どもの頃からのファンです」とご挨拶できたのが大切な思い出になりました。

生涯忘れられない読書体験をありがとうございました。
どうぞ安らかに。

☆【評伝】天沢退二郎さん 圧倒的に熱く語った宮沢賢治「宇宙人にも感動してもらえるように」
https://www.tokyo-np.co.jp/article/227962

夢でない夢

JCAA50周年記念『音を織る 作編曲家たちの言の葉』

 : 表紙

JCAA(日本作編曲家協会)50周年記念本『音を織る 作編曲家たちの言の葉』が2月24日に発売されました。

第一線で活躍する作編曲家のインタビューや寄稿、座談会などが並ぶ、ボリュームたっぷりの夢のような本です。
冒頭には近年亡くなられた、すぎやまこういち先生、服部克久先生の言葉と仕事を紹介するページも。

2002年にJCAAが出した『編曲の本』というのも持っているのですが、こちらは作編曲の実践的なテクニックを解説した実用的な内容なので正直私には宝の持ちぐされ…。

今回の『音を織る』は音楽ファンや研究家にも楽しめる内容になっています。
私は参加していませんが、執筆者には賀来タクトさん、早川優さんら、サントラファンにおなじみの名前も。 サントラ好きの方にもおすすめです。

全国の書店で購入可能です。

JCAA設立50周年記 音を織る 作編曲家たちの言の葉