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ワルツ ~カミーユ・クローデルに捧ぐ~ 第二章

ワルツ ~カミーユ・クローデルに捧ぐ~ 第二章

11月13日の夜、恵比寿のスタジオアッシュ(Studio H)で坂田晃一先生が音楽を担当した舞台「ワルツ ~カミーユ・クローデルに捧ぐ~ 第二章」(作・演出:宮本尚子)を観てきました。

女性彫刻家カミーユ・クローデルを題材にした朗読とパフォーマンスと音楽による舞台です。
ロダンの弟子、そして恋人となり、彫刻家として活躍したカミーユ・クローデルは、ロダンとの関係が破綻したのち心を病み、30代から78歳で亡くなるまでを精神病院ですごしました。
その精神病院でのカミーユの後半生が描かれます。

出演者は3人だけ。
カミーユ(木村有岐)と修道女(福田好)、そして歌手(柴田英恵)。歌手は芝居にはからまず、コロスのような役割です。
カミーユと修道女のあいだにもセリフのやりとりはない。歌と朗読とモノローグだけで話が進みます。

タイトルに「第二章」とあるように、カミーユの人生の前半も舞台になっているようですが、そちらは未見。 しかし、第二章だけでも完結した作品になっているので十分楽しめました。

会場はふだんはダンスの練習などに使われている小さなスタジオ。 舞台装置は椅子を4つ並べ、天井から白いドレスを吊るしただけ。 周囲の壁際に観客用の椅子が並べられて、俳優に手が届くくらいの近さで鑑賞するようになっている。
そのため、ものすごい臨場感です。
役者の息づかいや肉体の緊張が伝わってくる。

すばらしかった。感銘を受けました。
カミーユと修道女の人生を間近で観ているような気持ちを味わいました。

坂田晃一先生の音楽もすばらしい。過去の公演では坂田先生自身のチェロを含むストリングスとピアノで生演奏されていたそうですが、今回は会場の小ささや感染対策を考慮してか、録音された音になってました。 それはちょっと残念だったのですが、歌だけは生でした。
美しくもの悲しい旋律と歌声がカミーユの孤独と哀しみを代弁して胸に刺さります。

映画『カミーユ・クローデル』のガブリエル・ヤレド(ヤーレ)による音楽もよかったけど、坂田先生の音楽も絶品。
実はサントラ盤も通信販売されてます。

https://shop.waltzproject.com/items/39831524
サウンドトラックのジャケット

そのサントラ盤では過去の公演で流れた男声ヴォーカル(坂下忠弘)による歌が収録されているのですが、今回は女声ヴォーカルによる歌唱。
このほうが劇の主題に合っている気がします。
女声ヴォーカル版のサントラも出してほしいなぁ。

帰り際、坂田先生がいらしたので久しぶりにご挨拶。
お元気そうでなによりでした。

スタジオアッシュ遠景

エンニオ・モリコーネ オフィシャル・コンサート・セレブレーション

エンニオ・モリコーネ オフィシャル・コンサート・セレブレーション

11月6日、有楽町・東京国際フォーラムAホールで開催された「エンニオ・モリコーネ オフィシャル・コンサート・セレブレーション」の最終公演を聴きました。

モリコーネのコンサートを聴くのは2004年6月のエンニオ・モリコーネ来日コンサート(「エンニオ・モリコーネ in JAPAN」)以来かも。その間に『ニュー・シネマ・パラダイス』シネマコンサートを鑑賞しましたが(これはすごくよかった)、モリコーネ作品を集めたコンサートは聴いてなかったと思います。
別のところで書いたことがありますが、モリコーネは私が映画音楽を聴くようになるきっかけとなった作曲家のひとり。思えば、50年くらいモリコーネを聴いてきたことになります。そして、モリコーネは2020年に91歳で死去。追悼の想いを胸にコンサートに足を運びました。

10列目の左寄りという恰好の席。ピアニストやハープ奏者の手の動き、指揮者の動きもじっくり見られる。音も大きすぎず、偏らず、よいバランスで聴けました。

開演前に客席から

コンサートのセットリストはモリコーネが生前考えていたもの。
息子のアンドレア・モリコーネが引き継いで、指揮を担当。アンドレアが指揮することもモリコーネの希望だったとか。
オーケストラは東京フィルハーモニー交響楽団。
イタリアから、ピアノ(レアンドロ・ピッチョーニ)、ドラム(マッシモ・ダゴスティーノ)、ベース(ナンニ・チヴィテンガ)、ギター(ロッコ・ジファレッリ)、ソプラノ(ヴィットリアーナ・デ・アミーチス)、それに合唱指揮者(ステファノ・クッチ)とサウンドエンジニア(ファビオ・ヴェンチュリ)も来日して、モリコーネの音を再現します。

第1部が高揚感たっぷりの「正義の力」(『アンタッチャブル』)から始まるのが最高。冒頭から気分が上がりました。

『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ』『海の上のピアニスト』とおなじみの名作が続いたあと、マフィアを描いたフィルム・ノワール『シシリアン』が登場するのがうれしい。超好きな作品です。

『ある夕食のテーブル』でぐっとおしゃれなムードになったあと、セルジオ・レオーネ監督作品のコーナー。
『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ウエスト(ウエスタン)』、『続・夕陽のガンマン』『夕陽のギャングたち』からの選曲。ドラム、ギター、ベース、ソプラノが大活躍。

ここまでが第1部。
東京フィルハーモニーの演奏は丁寧だけど、ダイナミックさがいまひとつの感じ。特にマカロニウエスタンの曲はリズムセクションやソロ楽器に負けている…
と感じたけれど…
第2部は驚くほどよくなっていました。演奏よりPAの調整の問題だったのかも?

2部はチェロデュオ「2CELLOS」のステファン・ハウザーが演奏する「エンニオのテーマ」から。これはモリコーネの作品ではなく、ハウザーがモリコーネをトリビュートして書き下ろした新曲です。映像によるハウザーの演奏とステージ上のレアンドロ・ピッチョーニの生ピアノとの共演でした。

2曲目は『ヘイトフル・エイト』のメインテーマ。
この曲では、オリジナル・サウンドトラックのレコーディング風景がスクリーンに映し出され、映像の中のミュージシャンの指の動きとオーケストラの演奏がシンクロするという超絶的な場面が見られました。

『プロフェッショナル』『ニューシネマ・パラダイス』『マレーナ』と人気作品が続いたあとは、「Social Cinema(社会派映画)」のコーナー。
この選曲がなかなか渋い。「美しいメロディ」のモリコーネ目当てで来ている方は意表を突かれたかも。
『アルジェの戦い』『殺人捜査』『ケマダの戦い』はまだしも、『供述によるとペレイラは…』や『労働者階級は天国に入る』は私も映画を観たことがない。モリコーネのベスト盤にもなかなか入らない曲だし(しかしコンサートではたびたび演奏されている)。
シリアスな曲調と緊張感たっぷりの演奏が胸に刺さります。
この並びだと『死刑台のメロディ』は入らないの?と思ったけど、それはあとに取っておかれていたのでした。

最後は『ミッション』のコーナー。
「ガブリエルのオーボエ」「フォールズ(滝)」「オン・アース・アズ・イット・イズ・イン・ヘブン(地上の楽園)」の3曲。
オーボエの妙なる音色、合唱とオーケストラの盛り上がり。締めくくりにふさわしい演奏でした。

アンコールになり、オルガンの前奏が流れ始めた瞬間、『死刑台のメロディ』!と心の中で叫びましたよ。
『死刑台のメロディ』は、中学生くらいの頃、エンニオ・モリコーネを聴き始めて間もない時期に出会った作品(ベスト盤に入っていた)。主題歌「勝利への賛歌」はジョーン・バエズの歌唱が心に響く名曲で、ふと気が付くと口ずさんでいたりします。だいぶあとになってから映画を観て、すごく辛い、考えさせられる映画だと知りました。
余談ですが中島みゆきの「世情」と「勝利への賛歌」が私の中では重なっています。
アンコールではオーケストラと混声合唱で演奏されましたが、ソプラノのヴィットリアーナ・デ・アミーチスが歌ってくれてもよかったのになぁとちょっと思いました。

さらにアンコールは続き、第1部のラストの曲「エクスタシー・オブ・ゴールド(黄金のエクスタシー)」を再演。1部の演奏は物足りなかったけれど、アンコールの演奏はよかった。オーケストラ、リズムセクション、合唱、ソプラノが一体となって怒涛のようにクライマックスになだれ込む。圧巻です。

アンコールの3曲目は「オン・アース・アズ・イット・イズ・イン・ヘブン(地上の楽園)」を再演。スクリーンにはエンニオ・モリコーネの幼い時からのポートレイトが映し出される。あらためて、エンニオ・モリコーネがもういないことを想って、しみじみしました。

よいコンサートでした。
ありがとう、エンニオ・モリコーネ。

ロビーに展示されていたパネル

2004年の「エンニオ・モリコーネ in JAPAN」のときはオリジナルTシャツなんか売ってましたが、今回の物販はCDのみ。
記念に「モリコーネ・プレイズ・モリコーネ[完全版]」を買いました。以前出たものとは曲順が異なり(コンサート通りの曲順に変更)、ボーナストラックを4曲追加した改訂版です。

ジャケット画像

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渡辺俊幸 シンフォニック・ガラ・コンサート

渡辺俊幸 シンフォニック・ガラ・コンサート

9月21日に東京芸術劇場大ホールにて開催された「渡辺俊幸 シンフォニック・ガラ・コンサート ~音楽家活動50周年の祝典~」に足を運びました。

すばらしかったです。
堪能しました。

渡辺俊幸さんの映像音楽と編曲作品を中心にしたプログラム。
プロデュースが盟友さだまさしさん。
演奏は東京フィルハーモニー交響楽団。俊幸さん自身の指揮。

大河ドラマ『毛利元就』(1997)、『利家とまつ』(2002)、朝の連続テレビ小説『おひさま』(2011)と、開幕からNHK作品が続く私好みの選曲。
『おひさま』は劇中曲もメドレーで聴かせて、平原綾香さんが歌う主題歌に続く構成。平原さんの生歌で「おひさま~大切なあなたへ」を聴くのは初めてかも。フルオーケストラをバックにした歌唱が圧巻でした。
さらに、平原綾香さんの代表曲「Jupiter」を俊幸さんによる新アレンジで。導入部にホルストの「惑星」のスコアが織り込まれていて、実にドラマティックで壮大な「Jupiter」になっていました。

続いては先ごろ亡くなった渡辺宙明先生(俊幸さんのお父様)の追悼コーナー。「マジンガーZ」「秘密戦隊ゴレンジャー」「宇宙刑事ギャバン」を俊幸さんの編曲で。歌は洗足学園音楽大学の学生たちによるメモリアル合唱団。「マジンガーZ」は映画『マジンガーZ/INFINITY』ヴァージョン。「ゴレンジャー」と「ギャバン」は全くの新編曲で、ジョン・バリー風のスパイ映画っぽいムードがある「ゴレンジャー」、女声合唱が入って壮大な「ギャバン」と、俊幸さんならではのサウンドと宙明メロディの共演に胸が熱くなります。

1部の最後はNHKドラマスペシャル『大地の子』(1995)の音楽。つい先ごろも何度目かの再放送をしていた名作です。温かく雄大なメロディがオーケストラサウンドに映えます。

休憩をはさんで、2部はさだまさしさんの歌から。「主人公」と「風に立つライオン」の2曲。「風に立つライオン」は短編小説か映画みたいなドラマのある歌で、聴くうちにぐっときてしまいました。

次は俊幸さんが手がけたアニメ音楽のコーナー。『新幹線変形ロボ シンカリオン』(2018)と『宇宙兄弟』(2012)の音楽をそれぞれメドレー(組曲)で。大河ドラマとはひと味違う、アクティブで高揚感のある曲想にわくわくします。『宇宙兄弟』といえばエレキギターのサウンドが特徴なのですが、今回はシンフォニック・コンサートということでエレキはなし。宇宙の広大さと宇宙への憧れが強調された印象で、新鮮でした。

ラストはNHKスペシャル『ローマ帝国』(2004)のために書いた曲を俊幸さん自身がコンサート用に構成・編曲した組曲「ローマ帝国」。2014年にスペイン・コルドバで開催された「Internatio­nal Film Music Festival」で初演されたと聞いて以来、一度生で聴きたいと思っていたのですよ。壮大で美しく、ときにダイナミック、ときにエキゾティック。混声合唱も加わって盛り上がります。ドキュメンタリーというより、『ベン・ハー』のような史劇映画音楽のよう。コンサートを締めくくるにふさわしいスケールの大きな曲であり、力の入った演奏でした。

アンコールは、さだまさしさんと平原綾香さんが再び登場し、『北の国から』のテーマ曲を2人のヴォーカルで。この公演でしか聴けないスペシャルヴァージョンでした。
『北の国から』(1981~2002)の音楽は(劇中音楽も)さだまさしさんの作曲ですが、シリーズの途中からは俊幸さんが書いた曲も使われています。「れいのテーマ」や「ダイヤモンド・ダスト」という曲が俊幸さんの作曲ですね。なので、『北の国から』も俊幸さんのフィルモグラフィに数えられる作品なわけです。
私は初回放送当時からの『北の国から』ファンでもあるので(今は閉館してしまった富良野の「『北の国から』資料館」に行ったことがあるくらい)、このアンコールには感動しました。 ちなみに今『北の国から』のサントラ盤を引っ張り出して解説書を読んでいたら、倉本聰さんがさださんの「風に立つライオン」を「群を抜いた名曲」と褒めてくれたというエピソードが書かれていて、「そこで『北の国から』につながるのか」とパズルのピースがはまったような気がしたのでした。

耳も心もリッチな気分になれた、すばらしいコンサートでした。

あらためて、渡辺俊幸さん、50周年おめでとうございます!

「京伴祭」のアーカイブが配信中

「京伴祭」のアーカイブが配信中

9月18日に京都・上賀茂神社で無観客(配信のみ)にて開催された「京伴祭」のアーカイブがYouTubeで期間限定配信中です。

下記からどうぞ(終了していたらすみません)。
https://www.youtube.com/watch?v=vLuITm5Clos

「京伴祭 -KYOTO SOUNDTRACK FESTIVAL-」は作曲家の林ゆうきさんが立ち上げた、サウンドトラック専門の音楽フェス。

今回は「エピソード0」として、無観客・無料にて開催されました。

出演は、

宮崎誠(『ワンパンマン』『SPY×FAMILY』など)
高梨康治(『FAIRY TAIL』『NARUTO -ナルト- 疾風伝』など)
林ゆうき(『僕のヒーローアカデミア』『ハイキュー!!』『ポケットモンスター』など)

の3人。

それぞれの代表作、代表曲をバンドの生演奏で披露するライブなのです。

当日はリアルタイムで観られませんでしたが、アーカイブでじっくり楽しませてもらいました。

これが無料でいいの?と驚く素晴らしい内容。
アニメ音楽やサウンドトラックに興味ある方はぜひご覧ください。

来年、有観客開催されるなら、京都に行きたいなぁ。

アーカイブは期間限定だそう(いつまでかは不明)なので、お早目に。

☆「京伴祭 -KYOTO SOUNDTRACK FESTIVAL-」公式サイト
https://kyobansai.com

音楽物語「窓ぎわのトットちゃん」

音楽物語「窓ぎわのトットちゃん」

8月15日、東京芸術劇場で開催された「黒柳徹子のハートフルコンサート2022」に行ってきました。

黒柳徹子さんが毎年8月15日に開催しているコンサートで、今回が32回目だそうです。

演奏は東京フィルハーモニー交響楽団。指揮・角田鋼亮

第1部は前橋汀子さんをソリストに迎えてのクラシック。
ベートーベン「ヴァイオリンと管弦楽のためのロマンス第2番」
サラサーテ「ツィゴイネルワイゼン」
前橋さんのヴァイオリンが、一音聴いただけで惹きこまれるようなすばらしい音で、心が震えました。
トークで前橋さんが黒柳徹子さんのお父さん(ヴァイオリニスト)に習ったことがあると話すと、黒柳さんが「その話、初めて聞きました」と驚く一幕が面白かった。

第2部が本日のお目当て。 黒柳徹子さんの語りとオーケストラによる音楽物語「窓ぎわのトットちゃん」です。
黒柳さんの自伝的小説に小森昭宏先生が音楽を付けた作品(構成・黒柳徹子、飯沢匡)。
レコードやCDになっていますが、生で聴くのは初めて。

2016年に小森先生が亡くなって以来、長らく上演してなかったのだそうです。
黒柳さんが小森先生の思い出や小森先生の音楽のすばらしさ、亡くなったあとの悲しい気持ちなどをお話されて、それを聞くだけで泣きそうになりました。
ちなみに黒柳さんのお父さんと小森先生のお父さんは同じオーケストラで演奏した仲。

音楽物語「窓ぎわのトットちゃん」。
あらためて生で聴くと、「録音されたものとは別もの」ってくらい胸に響きました。

まず、音楽がすばらしい。ラジオやテレビ用に書かれる曲とは違って、最初から生演奏するために書かれたスコアなので、オーケストラがふくよかにたっぷり鳴るように書かれている。
それから、メインテーマとなる「トットちゃんのテーマ」のキャッチーさ。その変奏が何度も出てきて、終わるころには頭に刷り込まれてます。トットちゃんと一緒に歌ってしまうくらい。
また、「音楽物語」というのは伊達でない。言葉よりも音楽で描写する演出で、黒柳さんの語り以上に音楽が主役になってます。ほとんど、交響詩とか交響組曲と呼んでもいいくらい。抒情的なテーマから、ユーモア、サスペンス、躍動、クラシックのパロディまで、映像音楽的なテクニックもふんだんに投入されている。描写音楽的な部分や現代音楽的な部分もある。
小森先生自身、戦争で命を失いかけた体験をしているだけに、原作に共感し、音楽的アイデアとテクニックを惜しみなく注ぎ込んだのだでしょう。
そして、全体としては、とても愛情に満ちた、心に染みる作品になっています。

小森サウンドに包まれる幸せな体験でした。
生で聴けてよかった。
ステージを観るまで真価がわからなかったです。
音楽が鳴っているあいだに黒柳さんが細かい芝居をしてるとか、トットちゃんがチンドン屋を呼ぶところでホントにチンドン屋が現れるとか、音だけ聴いてたらわからないもの。
子どもたちも楽しんで聴けるすばらしい作品でした。

ぜひ末永く上演し続けてほしいです。

「黒柳徹子のハートフルコンサート」パンフレット

フィルフィル5周年記念コンサート

フィルフィル5周年記念コンサート

14日に開催された「資料性博覧会15」にたくさんのご来場、応援、ありがとうございました!

撤収のあとは、フィルフィル(フィルム・スコア・フィルハーモニック・オーケストラ)5周年記念特別公演「TRIBUTE TO THE FILM SCORE ~FilPhil 5th Celebration~」(夜の部)に行ってきました。

フィルフィルは映画音楽を専門に演奏するオーケストラ。
「え、まだ5周年?」とちょっと驚いてます。
コロナ禍で開催が延びたので実は6周年だそうですが、もっと長く活動している気がしていました。

会場のオペラシティコンサートホールのロビーには、これまでの公演のメインビジュアルのタペストリーがずらり。並ぶと壮観です(実は全公演は聴いてない)。

タペストリー1

タペストリー2

パンフレットの表紙は黒地に金箔押しと気合が入ってる。

今回は昼夜2回公演。昼と夜とで一部プログロムが違う。
が、資料性博覧会があるので昼公演が聴けるわけもなく、必然的に夜公演へ。
恒例のコスプレしたお客さんもいて、開演前から気分が盛り上がります。

演奏曲を決めるために楽団員へのアンケートとSNSを利用した人気曲投票を行ったそうで、選りすぐりのプログラム。

第1部「もう一度聴きたい!みんなが選ぶあの名作たち」
第2部「ぜひ聴いてほしい!フィルフィルこだわりの名曲」
第3部「何度でも聴きたい!生誕90周年ジョン・ウィリアムズ」

の3部構成(休憩も2回)。
誰もが知ってる名曲から、ちょっと通好みの作品まで、ほかの映画音楽コンサートにないユニークさがあります。

個人的には、『スター・トレック』『ヒックとドラゴン』『ジュラシック・パーク』『シンドラーのリスト』と好きな曲が入っていて大満足。
また、オペラシティのパイプオルガンを使った「インターステラー」組曲はしびれました。2階のバルコニー席で聴いていたので、目の前からパイプオルガンの音の塊が飛んでくるような印象。さらにオーケストラの音が下から響いてきて、宇宙に浮かんでいるようなトリップ感が体験できました。

パイプオルガン

1曲目の『バック・トゥ・ザ・フューチャー』から終盤の『スターウォーズ』4曲、アンコールの映画音楽メドレーまで堪能しました。

フィルフィルはアマチュアオーケストラですが、団員が映画音楽ファンであるというのが強み。多少テクニック的に荒々しくても熱気と愛情がある。それに若い。今回、団員投票で選ばれた人気曲第1位が『ヒックとドラゴン』だったと知って深く感動しました。

映画音楽のコンサートというと50~60年代の定番の名作が演奏されることが多いけれど、フィルフィルでは一番古くても『スター・ウォーズ』(1977)という潔さ。現代の映画音楽に果敢に挑戦し、聴いてもらおうという気概を感じます。

代表で音楽監督も務める戸田信子さんは、Netflixのアニメ『ULTRAMAN』『攻殻機動隊SAC_2045』、今放送中のTVアニメ『RWBY 氷雪帝国』などの音楽を手がける作曲家でもある。
最新の映像音楽作りの現場を知る戸田さんがディレクションしていることもフィルフィルの大きな強みでしょう。

海外からオリジナルスコアを取り寄せて、サウンドトラックに限りなく本物に近い音をファンに届けようとする戸田さんの熱意と団員の努力が映画音楽ファンに支持され、公演を重ねて5周年(6周年)につながったと思います。

あらためて、おめでとうございます!

フィルフィル

ヒックとドラゴン in コンサート

ヒックとドラゴン in コンサート

7月23日、NHKホールで開催された「ヒックとドラゴン in コンサート」に足を運びました。

アニメ映画『ヒックとドラゴン』の全編を上映しながら、音楽をオーケストラの生演奏で楽しむシネマ・コンサートです。

『ヒックとドラゴン』は2010年に公開されたドリームワークス制作のアニメ映画。イギリスの児童文学を原作に、ドラゴンとバイキングの少年との友情を描いた物語です。

音楽はジョン・パウエル。
演奏は、指揮・佐々木新平、神奈川フィルハーモニー管弦楽団。

よかったです。堪能しました。

ジョン・パウエルはイギリス出身で、映画『ボーン・アイデンティティー』シリーズやアニメ映画『カンフー・パンダ』などの音楽を手がける作曲家。異色のヒーロー映画『ハンコック』の音楽が記憶に残っています。
『ヒックとドラゴン』の音楽は、北欧を舞台にしたファンタジーらしく、エキゾティックな響きを含むスケール感豊かな作品。フルオーケストラがダイナミックに鳴り響くシーンが多く、聴きごたえ抜群です。弦の速いパッセージや勇壮な金管の音色、ティンパニの力強い音などぞくぞくします。

電子音を使わない生音の響きが気持ちいい。シネマ・コンサート向けの作品だなぁと思いました。

とりわけ生のよさが味わえたのは、ヒックとアスティがトゥースに乗って飛ぶシーンのヴァイオリンソロ。
美しい映像とあいまって感動的。ぐっと気持ちが入ります。

エンドクレジットの主題歌は割愛。 生演奏の音楽に差し替えて、尺も短くなってました。
歌が入るとマイクとPAのセッティングが必要になり、歌手も呼ばなければならず、手間と予算が増えてしまいます。それに、物語が終わった後、長々とエンドクレジットが流れると子どもは退屈してしまうかも。と思うと、これは仕方ないかな。

シネマ・コンサートならではの幕間の演奏もあったし、アンコールも聴けて満足です。

なんといっても映画自体がすばらしいんですよね。
子どもが楽しめる作品なので、アクションはあるけど残酷なシーンはないし、誰も不幸にならない。深刻なところもない。
でも、ヒックの成長や親子の愛情、若い世代が古い因習を破って果敢に挑戦し、新しい未来を築く姿がしっかり描かれている。爽快で後味がいい作品です。
安心して絵と音楽を楽しめるという意味でも、シネマ・コンサートにふさわしい。

親子連れの観客も目につきました。夏休みに家族で鑑賞するにはぴったりのシネマ・コンサートでしょう。
トゥース(ドラゴン)のフィギュアやぬいぐるみを連れた、熱心なファンと思われる方たちも来ていました。
『スター・ウォーズ』や007映画のシネマ・コンサートに来る客層とはひと味違っていた印象です。
これはぜひ、『ヒックとドラゴン2』『ヒックとドラゴン 聖地への冒険』と続けてシネマ・コンサートでやってほしいです。

「ヒックとドラゴン in コンサート」ステージ

ルパン三世カリオストロの城 シネマ・コンサート! and 大野雄二ベスト・ヒット・ライブ!

ルパン三世カリオストロの城 シネマ・コンサート! and 大野雄二ベスト・ヒット・ライブ!

1月27日、東京国際フォーラムAホールで開催された「ルパン三世カリオストロの城 シネマ・コンサート! and 大野雄二ベスト・ヒット・ライブ!」に足を運びました。

「大野雄二80歳記念オフィシャル・プロジェクト」と銘打って開催されたイベントで、第1部が『ルパン三世 カリオストロの城』のシネマ・コンサート。第2部が「大野雄二ベスト・ヒット・ライブ!」という構成。

いやもう、すばらしかったです!
特に第2部のベスト・ヒット・ライブが筆舌に尽くせないくらいよかった。
第1部が前座で第2部がメインイベントと言ってもよいくらい(いやそれは言い過ぎですけど)。

「ベスト・ヒット・ライブ!」は映画・ドラマ・アニメ・ドキュメンタリー・CM…と大野雄二先生の映像音楽の仕事を総覧するプログラム。
しかも、ミュージシャンは大野雄二&ルパンティック・シックスを中心とする、大野雄二作品でおなじみのミュージシャン。
ホンモノの音、ホンモノの演奏ですよ!
(大野先生の音という意味でね)
しびれました。

大野先生本人のハモンドオルガンやエレピ、ピアノ演奏入りで「大追跡のテーマ」や「ザ・マリン・エクスプレス」や「夢の舟乗り」(『キャプテンフューチャー』)や「シークレット・デザイアー」(『スペースコブラ』)が聴けるとは。

まさに極上の体験でした。
個人的には「マー姉ちゃん」でうるっとしました。

実は『カリ城』のシネマ・コンサートは一度観てるんで、行こうか迷っていたんですが…
行ってよかった…。
第2部だけでもチケット代の価値ありました。

会場売りのパンフレットには不破了三さん入魂の大野雄二ヒストリーとコラムが掲載されているので、これも必読ですよ。

パンフレット裏