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「男声合唱のためのウルトラセブン」楽譜出版記念コンサート

「男声合唱のためのウルトラセブン」楽譜出版記念コンサート

12月4日、渋谷さくらホールで開催された「男声合唱のためのウルトラセブン」楽譜出版記念コンサートに足を運びました。

冬木透作編曲による楽譜本『男声合唱のためのウルトラセブン』(全音楽譜出版社)が12月15日に発売されることを記念したコンサートです。

1部は蒔田尚昊名義によるオリジナル作品。

  • Ave Maria
  • ガリラヤの風かおる丘で
  • きみの笑顔により添って
  • Ave Regina
  • Ave Maris Stella
  • 『智惠子抄』より あどけない話/千鳥と遊ぶ智恵子/レモン哀歌

などが演奏されました。はじめて聴く曲もあり、冬木透音楽の原点としてもとても興味深かったです。

2部は楽譜本に収録された作品から。

  • ウルトラセブンの歌
  • ウルトラ警備隊
  • ウルトラ母のバラード
  • 怪獣のレクイエム
  • ウルトラセブンのバラード
  • 哀惜のバラード
  • ゾフィーのバラード
  • ULTRA SEVEN
  • 戦え!ミラーマン
  • ワンダバ・メドレー
  • ウルトラマン賛歌
  • 希望の塔デュアダバダン

力強い熱唱で、すばらしかったです。特にワンダバ・メドレーは圧巻でした。

最後は冬木先生の指揮で会場みんなで「ウルトラセブン」を歌って終演。

先行販売されていた楽譜も買いました。
全曲、冬木先生自身の編曲で、冬木先生による各曲コメントもついているので貴重です。

「男声合唱のためのウルトラセブン」

終演後、冬木先生に久しぶりにお会いしてご挨拶しました。
まだまだお元気で活躍してほしいです。

カテリーナ古楽合奏団「祝祭」

カテリーナ古楽合奏団「祝祭」

11月19日、北とぴあ つつじホールで開催されたカテリーナ古楽合奏団コンサート「祝祭」に足を運びました。

カテリーナ古楽合奏団は1973年に結成された古楽器を演奏する楽団で、今年結成50周年。その記念コンサートです。

サウンドトラックを聴いていると、民族楽器(古楽器)を使った曲にしばしば出会います。洗練された現代の楽器では聴けない、素朴で不思議な音を出す楽器が多い。
楽器博物館などで古楽器を見ることはできますが、実際にどんなふうに演奏され、どんな音が出るのか、生で見る機会はなかなかありません。
そんなことで、このコンサートはサントラファン的にも興味深いものなのでした。

演目は13世紀~16世紀の西洋や中東の曲が中心。聴きなじみはないですが、西洋音楽のルーツを聴くようで面白い。
数100年前の人々がこんな音と音楽を聴いていたのかと想像するとロマンティックな気分になるし、時代も地域も異なる音楽がひとつのステージで演奏されることに現代的な意義も感じます。
有意義なコンサートでした。

実はカテリーナ古楽合奏団のメンバーである上野哲生さんを私は知っていました。
80年代に放送されたTVアニメ「おはよう!スパンク」の音楽を担当した作曲家です。当時はポップスを書いていたが、紆余曲折あって今は古楽器の演奏に打ち込んでいることをインタビューでうかがいました。
その上野さんが演奏する姿を見、音を聴けたことも、今回の収穫でした。

今回のコンサートのプログラムを中心にしたニューアルバムが発売されるそうです。
カテリーナ古楽合奏団のサイトで予約・購入ができます。
https://arujya.wixsite.com/mysite/catherina

ステージに並ぶ古楽器(開演前に)

赤毛のアン アニメコンサート

赤毛のアン アニメコンサート

11月18日、第一生命ホールで開催された「赤毛のアン アニメコンサート」に足を運びました。

TVアニメ『赤毛のアン』の映像とともに生演奏の音楽を楽しむコンサート。
2020年6月に開催予定でしたがコロナ禍で延期され、この日、ようやく開催が実現しました。

『赤毛のアン』は私の「心のアニメ」の1本です。
2004年には日本コロムビアに持ち込んだ企画が実現し、構成・解説・インタビューを担当した完全版音楽集「赤毛のアン 想い出音楽館」を発売することができました。
2019年12月には個人誌「劇伴倶楽部」の1冊として『赤毛のアン』音楽研究本「THE MUSIC OF "Anne of Green Gables" ~赤毛のアンの音楽世界~」を執筆・発行したくらい。

なので、2020年にコンサート開催のニュースが報じられたときから、この公演を楽しみにしていました。
昼夜2回公演の2回ともチケット取って聴きましたよ。

会場は開催を心待ちにしていたファンで満席。
限定グッズセットは開場15分で早々と売り切れ、がっくりする人続出。
私もそのひとりでしたが、夜公演に根性で並びゲットしました。

コンサート限定グッズセット

それはともかく、コンサート自体はすばらしかった。

演奏:井田勝大指揮 シアター オーケストラ トウキョウ
歌:大和田りつこ
出演:山田栄子

会場の第一生命ホールは全767席。クラシック向けのホールですが、ステージはあまり大きくありません。
今回のオーケストラは、
弦x9(第1ヴァイオリンx2、第2ヴァイオリンx2、ヴィオラx2、チェロx2、コントラバスx1)
木管x5(フルート、オーボエ、クラリネット、ファゴット、リコーダー/オカリナ持ち替え)
金管x3(トロンボーンx1、ホルンx2)
ハープx1
チェレスタ/キーボードx1
パーカッションx2
全21名という小ぶりな編成。
これはホールの都合と予算の都合の両方がありそうです。

しかし、音の再現度はすばらしかった。
ピアノ、ギター、チェンバロはキーボードで代用していましたが、ステージをよく見ていなければ気づかないほど自然でした。
また、打楽器はマリンバ、グロッケンシュピールなどのクラシックパーカッションのほかにドラや、コンガやボンゴなどのラテンパーカッションまでそろっていて、独特のサウンドを作り出していました。
おそらく譜面は残ってないと思うんですよ。音源から採譜したのではないかと思います。が、まったく違和感を感じさせないすばらしいオーケストレーションと演奏でした。
また、原曲のテンポに忠実に演奏していたのもよかった。それも再現度の高さにつながっているのでしょう。

ただ、BGMはともかく、主題歌の「きこえるかしら」や「さめない夢」の伴奏はもっと大きな編成で録音されているはずで、その「たっぷり感」が体験できなかったのはやむをえないとはいえ、惜しかった。
オープニングの「きこえるかしら」の伴奏は、サックス4本、クラリネット2本、トロンボーン4本、打楽器、エレクトーン、ピアノ、弦楽器という特殊な編成であったことが、当時の三善晃さんの証言でわかっています。今回はサックスもピアノも入っていないですからね。再演があるなら、ぜひ再現してほしいところです。

オリジナル歌手・大和田りつこさんの変わらぬ歌声が感動的でした。
今回、主題歌2曲のほかに挿入歌「森のとびらをあけて」「あしたはどんな日」「忘れないで」「涙がこぼれても」の4曲を歌ったのですが、作曲した三善晃さん、毛利蔵人さんのこだわりで、1番、2番、3番と歌詞に合わせてメロディーが微妙に違うのです。それを完璧に歌っていた。感嘆しました。

演奏曲は以下の通り。
(メモと記憶に頼っている部分が多いので間違っていたらすみません)
赤毛のアンのBGMは1曲ごとに曲名が付いてない(付けてない)ため、2枚組CD「赤毛のアン 想い出音楽館」の収録ブロックタイトルとM-No.で表記しました。参考にCD「ANIMEX1200シリーズ 赤毛のアン オリジナルBGMコレクション」での収録ブロックもカッコ内に併記しました。
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●第1部
オープニング
「きこえるかしら」サウンドトラック音源

第1章 マシュウ・カスバート驚く
Disc1:プリンスエドワード島へ:A-1A(Retake) (※ANIMEX:第一楽章)
Disc1:プリンスエドワード島へ:A-5 (※ANIMEX:第十楽章)
Disc1:よろこびの白い道:B-2B (※ANIMEX:未収録)

第2章 マリラ・カスバート驚く
Disc2:栄光と夢:A-2D (※ANIMEX:未収録)

「森のとびらをあけて」歌:大和田りつこ
「あしたはどんな日」歌:大和田りつこ

第6章 グリーン・ゲイブルズのアン
Disc2:クイーン学院への旅立ち:B-5B (※ANIMEX:未収録)
Disc1:アイドルワイルドの木陰で:B-7 (※ANIMEX:第四楽章)

第9章 おごそかな誓い
Disc1:おごそかな誓い:B-9A (※ANIMEX:第三楽章)
Disc1:忘れないで(Instrumental) (※ANIMEX:未収録)

第15章 秋の訪れ
Disc1:秋の訪れ:C-8 (※ANIMEX:未収録)
Disc1:秋の訪れ:B-17A(Slow) (※ANIMEX:未収録)

第16章 ダイアナをお茶に招く
「忘れないで」歌:大和田りつこ

第20章 再び春が来て
Disc2:夏の光・海辺の夢:C-1A (※ANIMEX:未収録)

第24章 面目をかけた大事件
Disc2:心の友ダイアナ:D-5 (※ANIMEX:第八楽章)

第28章 クリスマスのコンサート
Disc2:クリスマスのコンサート:B-11 (※ANIMEX:未収録)
Disc2:雪降る聖夜:B-12-2 (※ANIMEX:未収録)

第29章 アン・物語クラブを作る
第36章 物語クラブのゆくえ
Disc2:夢みる頃を過ぎても:B-12 (※ANIMEX:未収録)
Disc2:神は天にいまし:A-1 (※ANIMEX:第三楽章)

●第2部
第37章 十五歳の春
Disc2:十五歳の春:B-16 (※ANIMEX:未収録)
Disc2:十五歳の春:B-9B (※ANIMEX:未収録)

第38章 受験番号は13番
Disc2:乙女心のメヌエット:B-1B (※ANIMEX:未収録)
Disc2:風のふるさとへ:B-1C (※ANIMEX:未収録)

第41章 クイーン学院への旅立ち
Disc1:夏の光・海辺の夢:C-4 (※ANIMEX:未収録)

第44章 クイーン学院の冬
Disc2:冬のセレナーデ:A-1A (※ANIMEX:未収録)

第46章 マシュウの愛
Disc2:マシュウの愛:B-1A (※ANIMEX:未収録)

第47章 死と呼ばれる刈り入れ人
Disc2:めぐる季節:B-3C (※ANIMEX:第八楽章)
Disc2:冬のセレナーデ:B-17C (※ANIMEX:未収録)
Disc2:レクイエム:B-3 (※ANIMEX:レクイエム)

第49章 曲がり角
Disc2:神は天にいまし:G-2C (※ANIMEX:第一楽章)

第50章 神は天にいまし、すべて世はこともなし
神は天にいまし:A-2E (※ANIMEX:第十楽章)

「涙がこぼれても」歌:大和田りつこ

エンディング
「さめない夢」歌:大和田りつこ

アンコール
「きこえるかしら」歌:大和田りつこ

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オープニングでアニメのオープニング映像と当時の音声を流し、アンコールで生歌の「きこえるかしら」を聴かせる構成がニクいですね。盛り上がりました。

第36章で1部を区切ったのは、次の第37章でアンが十五歳になり、キャラクターデザインが大きく変わるからでしょう。リアルタイムで観ていたときも、はっとしたところです。第37章からが成長したアンの物語になり、雰囲気も変わる。この構成もうまいです。

第2部の前にトークコーナーがありました。アン役の山田栄子さんと歌の大和田りつこさん、そして指揮の井田勝大さん。いろいろ裏話が聞けて興味深かったです。昼の部と夜の部で基本的に内容は同じですが、細部が微妙に違う(笑)。両方聞けた人はラッキーでした。

1部の1曲目「プリンスエドワード島へ:A-1A(Retake)」から「おお、アンの音だ!」と感激しました。続く「プリンスエドワード島へ:A-5」「よろこびの白い道:B-2B」も本編第1章と同じ流れで気分が盛り上がります。
アンがダイアナと初めて会う場面の「おごそかな誓い:B-9A」が身もだえするほど美しく、うっとりしてしまいました。
弦合奏が奏でる優雅な「秋の訪れ:C-8」も好きな曲です。アヴォンリーの秋の情景に流れました。
「雪降る聖夜:B-12-2」はマシュウがアンのためにふくらんだ袖のドレスを用意するエピソードで使用。クリスマスイヴの夜を彩るチェレスタの音色に心がほっと温かくなります。
1部の最後に流れた「神は天にいまし:A-1」はノスタルジックな旋律が心にしみる曲。クリスマスのコンサートが終わり、余韻に包まれながら帰るアンとダイアナのシーンに選曲されていました。

2部はマリラがアンの成長に驚く「十五歳の春:B-16」から始まります。続く「十五歳の春:B-9B」はジョセフィンおばさんがアンの成長に感動するシーンに流れた曲。
「冬のセレナーデ:A-1A」は1部の1曲目に流れた「プリンスエドワード島へ:A-1A(Retake)」のテンポの遅い別ヴァージョンなのですが、お気づきになったでしょうか? アヴォンリーのテーマとも呼べる曲です。
次に演奏された「マシュウの愛:B-1A」は今回のコンサートでとりわけ感動した曲です。聴くたびに「1ダースの男の子よりもだよ」というマシュウのセリフを思い出し、うるうるしてしまいます。
「めぐる季節:B-3C」はリコーダー、オカリナとギターが奏でる曲。ほかのバロック風の曲とはひと味違うサウンドで、さわやかな味わいがすてきでした。
アンが重大な決心を胸に海岸を歩くシーンの映像をバックに流れた「神は天にいまし:G-2C」は挿入歌「ちょうちょみたい」をアレンジした曲。アニメのそのシーンでは「ちょうちょみたい」の歌入りが流れていました。
最終話のアンが手紙をつづるラストシーンに流れた「神は天にいまし:A-2E」をバックに山田栄子さんによる生アフレコが入り、1979年当時に観たときの感動がよみがえりました。A-2Eのあとに挿入歌「涙がこぼれても」が続くのはアニメの最終話と同じ流れです。

大和田りつこさんが歌った挿入歌「森のとびらをあけて」「あしたはどんな日」の2曲は三善晃さんの作編曲、「忘れないで」と「涙がこぼれても」の2曲は毛利蔵人さんの作編曲によるものです。とりわけ、「忘れないで」のやさしく可憐なメロディーとオーケストレーションが私は当時から大好きでした。『赤毛のアン』の音楽というと三善晃さんの名前が第一に上ることが多いですが、毛利蔵人さんのすぐれた才能ももっと注目されるべきと思います。

全体の構成は、「赤毛のアン 想い出音楽館」を参考にしつつ、実際の本編使用曲を調べて独自に選曲・構成したようですね。

続きを読む:赤毛のアン アニメコンサート

二人の宇宙戦艦ヤマト

二人の宇宙戦艦ヤマト

11月5日、東京オペラシティコンサートホールで「二人の宇宙戦艦ヤマト」夜の部を聴きました。
宮川彬良指揮、東京フィルハーモニー交響楽団の演奏。

よかった!
すばらしかったです。

先行抽選でチケット取ったのですが、実は公演内容をよく把握してなくて、当日になって指揮が宮川彬良さんと知り、「え、彬良さんが振るんだ」と驚く始末。

そして、発券したら席が1階の前から2列目。
「ステージに近すぎるよ~」と思ったものの、むしろラッキーだった。
中央ブロックの左手通路側の席で、目の前がピアノ。
ピアノのスコアと奏者の手元まで見える恰好の席でした。

客席からステージ

で、開演すると、彬良さんとヴァイオリンの篠崎史紀さん(マロさん)のトークショーが始まり、またびっくり。しかし、彬良さんならむべなるかな。
トークの内容は、同世代(1960年前後生まれ)の方なら共感するに違いない、テレビで流れていたサウンドトラックの話題で、2人の生演奏付き。まさかヤマトのコンサートに来て60年代の特撮番組の音楽が聴けるとは(笑)。

コンサートタイトル「二人の宇宙戦艦ヤマト」の「二人」は、宮川泰と羽田健太郎のことでもあるけれど、宮川彬良さんと篠崎史紀さんの「二人」という意味も込められているのだそうです。

肝心のコンサートですが、1部が宮川泰作曲の組曲「宇宙戦艦ヤマト」、2部が羽田健太郎作曲の交響曲「宇宙戦艦ヤマト」。

組曲「宇宙戦艦ヤマト」は「交響組曲 宇宙戦艦ヤマト」の抜粋に『さらば宇宙戦艦ヤマト』から「大いなる愛」を加えたプログラム。宮川泰さんが晩年にコンサートで演奏していたものがベースになっています。
いつもは「序曲」「宇宙戦艦ヤマト」「出撃(決戦)」「大いなる愛」の4曲構成なのですが、今回は「直筆のスコアが発見されたので」ということで、「イスカンダル」が加えられました。
オーケストラに宮川彬良さんのピアノ、リズムセクションを加えた、シンフォニックポップススタイルの演奏。スキャットはオペラ歌手として活躍する林美智子さん。「これがヤマトの音だよな~」と思える好演でした。

ステージに飾られたヤマトのフィギュア

第2部は1時間近くある大作、交響曲「宇宙戦艦ヤマト」。
羽田健太郎が西崎プロデューサーのダメだしをくらいながら苦心して書き上げたスコアですが、まじめに演奏するとあまり面白くないのです。ハネケンらしくない。
彬良さんは、フォルテは思い切り鳴らし、歌うところは思いきり歌い、外連味もきかせた演奏で聴衆をぐいぐい惹きつけます。
第1楽章の「イスカンダル」のメロディーは夢みるように美しいし、第2楽章に組み込まれた『宇宙戦艦ヤマト 完結編』のモティーフ(「コスモタイガー」「神殿部の闘い」「ウルクの歴史」)が原曲さながらの緊張感で迫ってくる。
あたかも「宮川泰先生が指揮していたらこうなっていたんじゃないか」と思わせる熱演、力演。
観客のみなさんが1楽章ごとに拍手したくなる気持ちがわかります。

そしてまたしてもびっくりしたのは、第4楽章のヴァイオリンとピアノの独奏が入るドッペルコンチェルト。彬良さんがピアノを弾くんだと思っていたら、娘さんの宮川知子さんがピアノですよ。
ほんの数メートル手前で演奏を観ていましたが、速いパッセージを奏でるときの集中力、強く打鍵するときの全身の力の入り具合まで伝わってきて、こちらも思わず力が入ってしまいました。魂のこもった演奏でした。

終演後は拍手が鳴りやまず、カーテンコールが2回、3回と。

アンコールは「交響組曲」版の「真赤なスカーフ」。

いやー、いいもの聴かせて&見せてもらいました。

交響曲「宇宙戦艦ヤマト」は何回か生演奏を聴きましたが、今回は格別でしたね。

会場販売のスコアも買いました。

また、どこかで再演してほしいものです。

組曲ヤマトと交響曲ヤマトのスコア

「カレイドスター20周年音楽祭」クラウドファンディング

「カレイドスター20周年音楽祭」クラウドファンディング

TVアニメ『カレイドスター』の放送20周年を祝う「カレイドスター20周年記念音楽祭」のクラウドファンディングがスタートしました。

ご縁あって、2015年に《SOUNDTRACK PUB》レーベル第11弾として完全版サウンドトラックCDをリリースした、私にとっても思い出深い作品です。

『カレイドスター』ファンのみなさま、よろしくお願いします!

クラウドファンディング実施期間:2023年10月4日22時~2023年11月23日23時59分

応援はこちら↓
https://animefund.com/project/kaleido

オルガン×ベルサイユのばら

オルガン×ベルサイユのばら

8月11日、サントリーホール大ホールで開催されたコンサート「オルガン×ベルサイユのばら」を聴きました。

サントリーホールの企画による「サントリーホールでオルガンZANMAI!」のプログラムのひとつです。

「オルガン×ベルサイユのばら」はTVアニメ版『ベルサイユのばら』の音楽をパイプオルガンで演奏しながら、俳優の七海ひろきさんがストーリーを朗読するという企画。

まず、アニメ版『ベルばら』の音楽をパイプオルガンで演奏するという企画が驚きです。しかも、主題歌やアルバム用に書かれた挿入歌・インスト曲だけでなく、CD「ベルサイユのばら 音楽集[完全版]」で初めて商品化されたオリジナルBGMも演奏曲に含まれている。まさか自分がタイトルを付けた曲がサントリーホールのパイプオルガンで演奏される日がくるとは夢にも思っていませんでした。

七海ひろきさんは宝塚の男役スタートして活躍し、『ベルサイユのばら』でオスカルを演じたことがある方。『ベルばら』の語り手として申し分ありません。そして「朗読」と言いつつ、セリフがあるところはオスカルやアントワネット、アンドレ、フェルゼンになりきっての熱演。パワフルかつ情感のこもった演技に圧倒されました。
パイプオルガンが演奏する馬飼野康二先生の名曲と七海ひろきさん入魂の演技でアニメの名場面がよみがえります。

最初この企画を聞いたときは、原作か宝塚版『ベルばら』寄りなのでは?と思ったのですよ。
ところが、ほんとにTVアニメ版そのままでびっくりしました。
アニメ版で原作から変えたところもアニメ版通りになっている。あまりにそのままで、「大丈夫なのかな?」と心配してしまうくらい。

『ベルばら』を取り上げながら、TVアニメ版にフォーカスした、非常にマニアックなコンサートでした。「完全版」CDを作ったとき、トムス・ミュージックの方に「コンサートできないですかね?」と相談されたことがあるのですが、スコアの用意やオーケストラの編成などを考えると難しいのでは…?と思っているうちに立ち消えになりました。
その企画が形を変えて実現したような思いです。

出演者は、パイプオルガン演奏の原田真侑さんと朗読の七海ひろきさんのふたりだけ。しかし、『ベルばら』の世界がみごとに再現されていました。カーテンコールで拍手が鳴りやまず、最後は客席全体でスタンディングオベーションになりました。
いやー、すばらしかったです。

アーカイブ動画の有料配信が行われるそうですので、会場に行けなかった方、興味を持たれた方はぜひどうぞ。

チケットは11日18時から発売中。
視聴期間は8月18日10時~8月24日23時です。
www.suntory.co.jp/suntoryhall/schedule/detail/20230811_M_3.html

視聴チケット購入はこちら
https://www.suntory.co.jp/suntoryhall/dsh/streaming/

続きを読む:オルガン×ベルサイユのばら

吉松隆オーケストラ傑作選

吉松隆オーケストラ傑作選

3月11日、東京芸術劇場で「吉松隆の〈英雄〉 吉松隆オーケストラ傑作選」を聴いてきました。

私にとって吉松隆さんはアニメ『Astroboy 鉄腕アトム』と大河ドラマ『平清盛』の人ではあるのですが……。
一度、純音楽作品をちゃんと聴きたいと思っていたので、今回は恰好の公演でした。

原田慶太楼指揮、東京交響楽団の演奏。
演目は、
「鳥は静かに… op.72」
「鳥のシンフォニア “若き鳥たちに” op.107」
「タルカス」
「交響曲第3番 op.75」

いやー、よかった。
シベリウス的な「鳥は静かに…」、ポップなリズムも登場する「鳥のシンフォニア」、ELPの名曲をオーケストラ曲にした「タルカス」、重厚で、ときに激しく躍動感に富んだ交響曲第3番。
現代音楽だけど暗鬱なところがなく聴きやすい。それに面白い。
『アトム』や『平清盛』のルーツを確認できた思いです。

若い世代の聴衆が多く見えたのも印象的。物販でスコアを買い求める人もいて、音楽をやっている人なのでしょう。

ミーハーなのでサイン会に並んだら、列が1階から3階まで伸びていて、サインもらうまで30分くらいかかってしまった。

で、吉松さんに「『鉄腕アトム』の音楽大好きです」と言ったら苦笑されてしまった。いや、照れていたのかな。そう思おう。

☆ロビーに展示されていた吉松さんのスコア、ノート類(接写でなければ撮影可と確認して撮影してます)

吉松隆スコア1

吉松隆スコア2

吉松隆のノート

指揮者・原田慶太楼さんのサイン入りプログラム

吉松さんのサイン入り「タルカス」

スターダンサーズ・バレエ団公演「MISSING LINK」

スターダンサーズ・バレエ団公演「MISSING LINK」

3月3日夜、東京芸術劇場プレイハウスで開催されたスターダンサーズ・バレエ団公演「MISSING LINK」に足を運びました。

蓜島邦明さんが音楽を手がけるモダンバレエ(コンテンポラリーダンス)です。

2階の席に着くと開演前から不思議な音楽が流れている。
見下ろすと、オーケストラピットで蓜島さんがキーボード2台とシンセサイザーを並べて音楽を演奏しています。
ステージには「まずは音楽をお楽しみください」と書かれたプラカードを持った出演者の姿が。
客入れから生演奏というぜいたくな趣向でした。

公演は第1部が蓜島さんの新作音楽によるダンス。
蓜島さんとヴァイオリン(高木和弘)による生演奏をまじえた音楽でした。
蓜島さん得意の怖い音楽かと思っていたら、前衛的でおしゃれ。フランス現代音楽のようなサウンドで驚きました。まさに現代のバレエ音楽と言う感じです。

2部の「Degi Meta go-go」は2002年にヨーロッパで公演して大成功を収めた作品の再演。
蓜島さんの音楽は、機械的なビートをバックに展開するノイズ系音楽。インダストリアルミュージック的な趣もある。
ダンサーの踊りが加わるとなかなかシュールで、リアル『世にも奇妙な物語』を観るようでした。

期待どおり、いや期待を上回るすごい音楽でした。
強烈な音楽体験で、頭くらくらしながら帰りました。
舞台作品の音楽は商品化されないことが多いし、直に体験してこそという面もあります。生で聴けてよかったです。

「MISSING LINK」会場のポスター

菅野祐悟 交響曲第2番@サントリーホール

菅野祐悟 交響曲第2番@サントリーホール

サントリーホールで菅野祐悟さんの「交響曲第2番 “Alles ist Architektur”-すべては建築である」を演奏するというので聴きに行ってきました。

東京交響楽団の第707回定期演奏会。原田慶太楼指揮。

行ってよかった。
さすがサントリーホール。すばらしい音でした。
CDで聴くのとは大違い。

交響曲第2番は「建築」をテーマにした作品。
第1楽章から第4楽章まで、それぞれにサブテーマが割り当てられています。
メインとなるモティーフを提示する力強い第1楽章、躍動的なスペイン風の第2楽章、弦合奏を中心とした抒情的な第3楽章、メインモティーフを反復し、さわやかに雄大に締めくくられる第4楽章。それぞれに聴きごたえがある。

菅野さんは「40分間聴衆を飽きさせない」という純音楽にはめずらしい(?)目標を掲げて作曲に臨んだそうで、そこここに、映像音楽的な耳にひっかかる工夫がほどこされています。2階席で聴いていたので、奥の方でパーカッションが活躍しているようすが確認できました。サウンドトラックみたいに聴こえる部分があるのも楽しいところ。菅野さんが現場でブラッシュアップしてきた技の集大成ともいえます。

東京交響楽団の演奏もすばらしかった。
演奏が進むうちに、オーケストラ全体がひとつの楽器のように聴こえる瞬間があり、うっとりしました。生でオーケストラを聴く醍醐味です。
菅野さんが音で表現しようとした「光」がたしかに見えた気がしました。

プログラムには菅野さんと指揮の原田さん、コンサートマスターの水谷晃さんらとの座談会が掲載されていて、なかなか貴重。

東京交響楽団第707回定期演奏会プログラム

東京交響楽団第707回定期演奏会プログラム・座談会ページ

プログラムは東京交響楽団の公式サイトで公開されているので、Webでも読むことができます。
https://tso.futureartist.net/Symphony2301

終演後、ロビーに現れた菅野さんにご挨拶。

思えば、2007年12月に開催された菅野さんの最初のコンサートもここ、サントリーホールの小ホール(ブルーローズ)だったんですよね。
そのときも聴きに行って、初めて菅野さんにご挨拶した記憶があります。
今回は堂々の大ホール。いわば凱旋公演。
菅野さんの音楽を追いかけてきたひとりとして、感無量です。

フィルフィルコンサート「Musical! Musical!! Musical!!!」

フィルフィルコンサート「Musical! Musical!! Musical!!!」

2月11日、ミューザ川崎で開催されたフィルフィル(Film Score Philharmonic Orchestra)コンサート「Musical! Musical!! Musical!!!」に行ってきました。

タイトルどおり、テーマはミュージカル映画。

『グレイテスト・ショーマン』(2017)
『アラジン』(1992)
『ノートルダムの鐘』(1996)
『オペラ座の怪人』(1986)
『キャッツ』(1981)
『レ・ミゼラブル』(1985)
『ウエスト・サイド・ストーリー』(1957)

と80年代以降の新しめの作品を中心にしたセレクト。
休憩を挟んで3時間あまり、充実の内容でした。

ディズニーのアニメ映画『アラジン』『ノートルダムの鐘』は組曲でオーケストラ音楽をたっぷり聴かせるフィルフィルらしい構成。
やっぱりアラン・メンケンはいい曲書くなあ。

ミュージカルの音楽はキャッチーで華やかで踊れる曲が多く、客席も盛り上がります。

いちばん驚いたのは歌手やコーラスグループが次々と登場して、ミュージカルナンバーを歌ってくれたこと。
ミュージカル特集だから当然ではあるのだけれど、これまでのフィルフィルコンサートを聴いてきた私は、「おおーっ」と思いましたよ。

フィルフィルといえば『スター・ウォーズ』やジョン・ウィリアムズなどのシンフォニックな音楽が中心で、コンサートでヴォーカル曲を取り上げることはほとんどなかったのです。
今回はがらっと雰囲気が変わりました。聴衆の顔ぶれもこれまでと違う印象で、新しいファンを開拓したのではないでしょうか。

歌という新たな武器を手に入れたフィルフィルはどこへ向かっていくのか。次回も楽しみです!

ストリートオルガンとパネル

フィルフィルオーケストラ1

フィルフィルオーケストラ2

プログラム