TAROMAN
7月18日からNHK Eテレで深夜に放送されている帯番組『TAROMAN』がなかなかイカれてます(ほめてます)。
岡本太郎の絵画や彫刻をモデルにした怪獣(番組内では奇獣と呼ばれている)が登場する「特撮活劇」(公式サイトでの呼称)です。岡本太郎の展覧会のPRも兼ねた番組のようです。
TAROMANというのは70年大阪万博のシンボル「太陽の塔」が人間型になったみたいな巨大ヒーロー。
もともと岡本太郎の作品は60~70年代当時から怪獣っぽいと言われてました。実際、岡本太郎は映画『宇宙人東京に現わる』で宇宙人をデザインしているし。シュールレアリスムや古代美術の流れを汲む点でも、ウルトラ怪獣に通じるところがあります。
だから、岡本太郎の作品が怪獣になるのは古くからの怪獣ファンにとってはすごく納得できることでした。今までやりたくても誰も大っぴらにはやらなかっただけでしょう。
『TAROMAN』の面白いところは、昭和の特撮ヒーロー番組という設定で作られているところ。画角も昔のテレビのサイズに合わせたスタンダードだし、映像もざらざらしたフィルムっぽい感じに仕上げられている。
やってることは相当むちゃくちゃです。TAROMANはまともに怪獣と戦うわけではない。番組自体が「なんだこれは!」という岡本太郎の言葉をテーマに作られているので、ヒーロー番組とはかけはなれたシュールな展開ばかり。
でも、それが爽快です。岡本太郎イムズともいうべき、常識破壊の爆発力がある。いろいろなことに気を使って無難な展開に終始してしまう物語や映像作品に対するカウンターになっています。
あと、最近の特撮番組はヒーローばかりが注目される傾向がありますが、以前紹介した『KJファイル』といい本作といい、怪獣に焦点を当ててるのが「怪獣ファン」としてはうれしいです。
全10話なので今週で終わってしまいますが、「まとめて再放送」が予定されているので、見逃した方はぜひ観てほしいです。
「まとめて再放送」は、
7月30日(土)深夜25時(第1話~第5話)、31日(日)深夜24時45分~
KJファイル
7月10日深夜から始まった1回5分のミニ番組『KJファイル』が予想以上に面白かった。
☆公式サイト:https://www.tv-tokyo.co.jp/anime/kjfile/
「KJファイル」とは「怪獣ファイル」。
毎回オリジナル怪獣を紹介するアニメ番組です。
ほほう、ゲキメーションか。
『銭天堂』でもやってるし、いまやそんなに珍しくないぞ。
でも、レトロな昭和挿絵風の怪獣描写がなかなかいい。
とか思ってたら、怪獣のテーマソングが流れてきて、呆然。
「怪獣のうた」ではなく、登場している怪獣専用のオリジナルソングなのだ。
1回5分で怪獣が2体紹介される。
もう1体のほうもオリジナルのテーマソングが流れる。
毎回、登場する怪獣の歌を作って流すらしい。
ふつうにBGMを作るより手間がかかってるのではないか。
怪獣をテーマにしたアニメ番組ということは知っていたのだけど、『ゴジラSP』みたいな、もうちょっとシリアス寄りかと思っていたので、あっけにとられてしまった。
しかし、このテイスト、60年代のソノシートみたいで懐かしい。
昭和挿絵風ビジュアルも怪獣の歌も、1怪獣2分という長さも、ソノシートっぽい。
サントラ(ソングコレクション)が出るならソノシート風に作ってほしいな。
ドラゴンボール超 スーパーヒーロー
映画『ドラゴンボール超 スーパーヒーロー』を観ました。
実は私、『ドラゴンボール』の映画をほとんど観たことがない。
『ドラゴンボール』自体、そんなに観ていない。
なので、近年の劇場版も観ていませんでした。
なぜ観に行ったかというと、音楽が佐藤直紀さんだったから。
佐藤直紀さんが『ドラゴンボール』の音楽を手がけるのはこれが初めて。
音楽が楽しみすぎて、観る前にサントラ盤を買ってしまったくらい(観るまで聴くのはがまんした)。
実際、観て…
すごかった。
開巻から目が離せず、思わず拳を握ってしまったり、感動したり…
すみません、ドラゴンボール映画なめてました。
ほぼ全編がセルルック(手描き風)3DCG。
しかし、手描きと見まがうほど自然で、動きのタイミングやスピードも気持ちいい。
東映アニメーションが進化させてきた手法の完成形と言えるのではないでしょうか。
その3DCGを生かして描かれるバトルシーンが迫力満点。CGならではの回り込みなどを巧みに使ったアクション描写に引き込まれます。
アクションシーン以外でも3DCGの特性を生かしたカットがたくさんあり、さすが、プリキュアシリーズのEDアニメーションを作ってきた児玉徹郎監督だなぁと。
楽しみにしていた音楽はといえば…
すばらしかったです!
みごとに映画音楽になっている。
アクションシーンでも効果音やセリフに埋もれず、音楽が耳に残る。
といって、主張しすぎているわけではなく、しっかり演出の一部になっている。
それでいて、ヒーローのテーマやレッドリボン軍のテーマなど、印象に残るメロディがある。劇中くり返し登場して、後半になると「あっ、また来た!」と思う。映画が終わったあとも口ずさめるほど。これは映画音楽としてとっても大事なことと思うのです。
最近の佐藤さんはテレビの仕事は少なめでもっぱら映画で活躍しています。
シリアスな実写映画の手法がこの作品にも生かされていると思います。
同時に、これだけストレートな娯楽作品も佐藤さんの最近の仕事にはなかった。
子ども向けアニメ映画は『プリキュア』以来ではないでしょうか。
場面を盛り上げ、観客を映画に没入させる。娯楽映画音楽の王道がしっかりふまえられた作品です。
この映画でいちばん驚いたのは…
エンドクレジットに歌が流れなかったこと。
実はオープニングにも劇中にも、歌はいっさい流れない。
昨今のアニメ映画としては(日本映画としても)異例の、主題歌・挿入歌のない映画なのです。
その代わり、エンドクレジットには、劇中音楽のメドレーが流れる。
劇場で思わず、じーん。
感動しました。
よほど音楽に信頼がなければ、こういう演出にはしない。
佐藤直紀さんの仕事は、みごとにそれに応えてます。
この映画、「アベンジャーズ」に代表されるマーベル映画をけっこう意識してると思うのですね。
でも、「意識してる」くらいであって、真似してるとは思わない。
海外セールスを強く意識した作品ということでしょう。
エンドクレジットに劇中音楽のメドレーが流れて終わるのもマーベル映画っぽい。
そして、佐藤直紀さんの音楽は、アラン・シルヴェストリやマイケル・ジアッキーノの音楽にぜんぜん負けてない。
むしろ、この作品をきっかけに海外作品でも活躍してほしい。
それだけパワーのある映画であり音楽でした。
アニメファンのみならず、サントラファンもぜひ見るべし。
劇場のディスプレイです。
サントラ発売中!
犬王
湯浅政明監督の最新作、映画『犬王』を観ました。
「観た」というより、「体験した」というほうがぴったり。
圧倒的な映像と音楽を浴びてくらくらしました。
南北朝から室町期の京都を舞台に、人々を熱狂させた能楽師「犬王」を斬新な解釈と映像で描くアニメーション映画。
異形の姿で生まれながらも歌と踊りに並外れた才能を発揮する犬王と平家の呪いで盲目になった琵琶法師・友魚(ともな)が出会い、新しい音楽と舞を披露するポップスターとして人気を集めていく。ふたりの友情と葛藤がドラマとなります。
監督もインタビューで語ってるのでネタバレでないと思いますが、『どろろ』+ロックミュージカル、みたいな作品。
圧巻は友魚が琵琶をかき鳴らし歌うライブシーンです。
室町の京の都にロックサウンドが鳴り響く。
もちろん、琵琶からエレキギターの音がするわけがない。都の人々にはそのくらい新しい音楽に聴こえているという演出なのでしょう。
音楽は『あまちゃん』『いだてん』の大友良英さん。
もともと大友さんはアヴァンギャルドな音楽を作っていた人なので、前半の現代音楽的な音楽が「本領発揮!」という感じで面白い。
見せ場のライブシーンは臨場感にあふれ、エネルギッシュです。
ただ、ここまであからさまにロックにしなくてもよかったのでは…?
ロックへのオマージュが強すぎて、つい、ほかの映画が頭に浮かんでしまう。
もっと、邦楽とロックが融合したような、わけのわからない音楽であったほうが物語に合っていたのではないかな…。
大友さんだったら、そういう音楽が作れたと思うのです。
バレエを思わせる終盤の犬王の舞のシーンも同じくで、序盤の異形の体を持て余したような踊りが迫力があった。
カオスのほうがエネルギーがあったと思うのですね。
とはいえ、聴いたこともない新しい音楽を作るのも難しいし、共感も得づらい。
表現のスタイルとしてロックやバレエを選んだのは、考えた末の落としどころかなと思いました。
ないものねだりを書きましたが、アニメファン必見の作品であるのはたしか。
ちょっとグロいシーンもありますが、心ゆさぶられる体験をしたいという方、お奨めします。
機動戦士ガンダム ククルス・ドアンの島
映画『機動戦士ガンダム ククルス・ドアンの島』を観ました。
『機動戦士ガンダム』TVシリーズ第1作の1エピソードをふくらませた新作アニメ映画。監督は第1作のキャラクターデザイン・作画監督を務めた安彦良和。第1作の雰囲気と現代的な解釈・描写が絶妙にブレンドされています。
これはガンダムファン以上に安彦良和ファンが観て楽しい作品ではないでしょうか。
なんたって、キャラクターの表情や芝居が安彦さん描く漫画のコマそのまんま。観ていてニヤニヤしてしまいました。
ガンダム映画としては、また会えると思ってなかったあんなキャラやこんなキャラの登場にときめきました。
第1作の音楽を何曲かアレンジして使ってるのもいい。そのアレンジの仕方がひとひねりあっていい。
せっかくだから、第1作のために録音されたものの一度も使われなかった子どもたちのテーマ(ハイジのBGMみたいな曲)も使ってほしかったなー。
『わが青春のアルカディア』と田島令子さんトークショー
5月29日、新文芸坐で映画『わが青春のアルカディア』と田島令子さんのトークショーを観覧しました。
『わが青春のアルカディア』は公開当時劇場で観て以来。
当時は、登場人物をひたすら追い込む(不自然なまでの)筋立てや時代がかった台詞に「うーむ」と思った記憶があります。40年経ってもその印象は大きくは変わらない。
しかし、泣かせるシーンや台詞を集めた『忠臣蔵』みたいな映画だと思って観ればなかなか楽しい作品です。松本零士作品のエッセンスが集まっているし、なにより、その泣かせる芝居を当時の人気声優・実力派声優・俳優が演じているのがたまりません。いってみれば、東映オールスター時代劇。
プロローグ部分でハーロックの先祖を演じているのが石原裕次郎。当時から話題になりました。
本編に入ると、井上真樹夫(ハーロック)、富山敬(トチロー)を筆頭に、武藤礼子(マーヤ)、田島令子(エメラルダス)、池田秀一(ゾル)、森山周一郎(老トカーガ兵)、石田太郎(ゼーダ)、青野武(ムリグソン)、高木均(トライター)、柴田秀勝(黒衣の指揮官)、増山江威子(スタンレーの魔女)と洋画吹替みたいな布陣。渋い声のおじさまが多いのが松本零士作品ならでは。それに、山本百合子(ラ・ミーメ)、鶴ひろみ(ミラ)と若手俳優が加わる。
この頃、『宇宙戦艦ヤマト』の真田役が人気だった青野武さんが悪役をノリノリで憎たらしく演じているのが楽しい。石田太郎さんが演じるゼーダは、カリオストロ伯爵とは打って変わって、男気のある宇宙のサムライ的なキャラ。増山江威子さんが笑い声だけというのもぜいたくな使い方です。
なんといっても私がキュンとなったのは、マーヤ役の武藤礼子サマ。上品でやさしく、艶っぽい。エメラルダスの田島令子さんがかすんでしまうほど(個人の感想です)。なんたってエリザベス・テイラーの声ですから。武藤礼子さんは『1000年女王』にも出演していますが、ヒロインではない。この映画ではハーロックの恋人役だから、エメラルダスより彼女がヒロインといって差し支えないでしょう。武藤礼子サマの松本零士ヒロインが観られるだけでも、この映画は価値がありました(個人の感想です)。
終映後、田島令子さんのトークショー。田島令子さんは昨年、TVバラエティ番組『武田鉄矢の昭和は輝いていた』(BSテレ東)にゲスト出演されていました。そのときと同じで、さばさばしたきっぷのいい女性といった雰囲気。ステキです。
『バイオニック・ジェミー』のジェミーやクイーン・エメラルダスへのキャスティング秘話、ラジオドラマとアニメとの演技の違いなどを話してくれました。
隅田川を運航している松本零士デザインの水上バスの船内ガイド音声を田島令子さん、池田昌子さん、野沢雅子さんが(松本零士キャラとして)担当していて、その録音裏話も。東映で一緒に録ったそうです。
特別に生前録音された井上真樹夫さん80歳のときのメッセージも流れました。年齢を重ねてもカッコよかったですね。
ハケンアニメ!
映画『ハケンアニメ!』よかったです。
アニメ業界に詳しい人は「そりゃないよ」とか「これはあれね」とか、いろいろ思うところがあるかもしれませんが、私は純粋に「お仕事映画」として楽しみました。
主人公は初めてTVアニメのシリーズ監督をまかされた女性演出家・斎藤瞳(吉岡里帆)。ところが、彼女が業界に入るきっかけになった憧れの監督・王子千晴(中村倫也)の久しぶりの新作が、同じ時間帯に放送されることになる。
瞳は宣伝のためにセッティングされた王子との公開対談で、2つの作品が対決する形になったことについて聞かれ、「勝ちます。覇権を取ります」と宣言。最高の作品を作るべく制作にのめりこんでいく。
『ハケンアニメ!』の「ハケン」は「派遣」ではなく「覇権」のことだったんですね。
作品作りの描写はアニメ好きには興味深い。誇張や現実的でないところもあると思うけれど、もの作りへの想いが強烈に伝わってくる。いっぽうで、瞳が番組の宣伝のために制作以外のことに振り回されるのも、いかにもありそうで面白い。
ノリは『がんばれ!ベアーズ』+『エースをねらえ!』っぽい。圧倒的に不利な主人公側がさまざまな試練を乗り越え、経験値を高めて勝ちをめざす。その構図はスポ根もの的です。
ただ、題材はスポーツではなくチームでの作品作りなので、ポイントを取って勝つだけではない複雑さがある。さまざまな職種の人と利害がからむ、ビジネスとしてのもの作りであるがゆえの苦心や苦悩や闘いがある。そこに引きこまれます。
アニメ業界でなくても、ビジネスでチームを組んで仕事に取り組んだことがある人なら、特にリーダー的な仕事を経験したことがある人なら、身につまされること、共感することがあるのではないでしょうか。
そして、映画は、なぜ人がフィクションを必要とするのか、フィクションを生み出そうとするのか、という普遍的なテーマにも食い込んでいく。
それがすごくよかった。
音楽は実写(映画・ドラマ)とアニメの両方で活躍する池頼広さん。
現実パートではピアノソロやバンドサウンドなどで、劇中アニメの音楽はオーケストラサウンドで、と音楽性を変えてメリハリをきかせています。
しかし、クライマックスでは、劇中アニメの音楽として流れていた曲が、現実パートの曲としても意味を持ち始め、劇中アニメの枠を越えて流れ続ける。
フィクションとリアルがつながるメタフィクション的な演出を音楽でやってしまっている。
それが感動にもつながる。
「え? なにが起こってるの?」とぞくぞくしました。
これから観る方は、ぜひ音楽にも耳を傾けてご覧ください。
劇場版『エースをねらえ!』と森功至さんトークショー
5月22日、新文芸坐の劇場版『エースをねらえ!』& 森功至さんトークショーを観覧しました。
1日2回公演の2回目。
森さんのトークから。
森さん、お元気で今でもいい声だよなぁ。
若いときはシュッとした2枚目だったのが、今はいい感じのカッコいいおじさんになっている……という雰囲気。
『キューティーハニー』のアドリブの話、ナレーションの仕事の話など、貴重なエピソードが聞けました。
そのあと、劇場版『エースをねらえ!』上映。
何度観たかわからない映画ですが、劇場で観ると特別な感慨があります。
先がわかっているのにぐいぐいと惹きつけられる。
そして、心の奥に火を灯されたような気持ちになる。
がんばって生きなきゃ、と思って劇場を出ました。
「時間を無駄にしてはいかん……!」
歳をとるにつれ、宗方仁の言葉がますますもって胸に響きます。
5月29日は『わが青春のアルカディア』上映と田島令子さんトークショーが予定されています。
☆劇場都市としまエンタメシアター in 文芸坐のイベントページ
https://bungeisp.wixsite.com/entertainment/
「シン・ウルトラマン」を観た
5月13日公開『シン・ウルトラマン』。
初日にIMAXで観てきました。
未見の方のために内容には触れませんが、ビジュアル、ストーリー、演出、音楽、すべての面で堪能しました。よかったです。
私はオリジナルのテレビ放送をリアルタイムに観た世代。
「観た」どころではなく、幼少期は重症のウルトラマンファンでした。
その私が観ても、ノスタルジーとかではなしに、驚異に満ちた、抜群に面白い空想特撮映画に仕上がってると思います。
『ウルトラマン』のファンが観れば、「こう来たか!」と思うところや「これはこうだよね」と深読みできるところなど、いろいろな楽しみ方がある。
けれど、『ウルトラマン』を観てない方にも、いや、観てない方にこそ、ぜひ観てほしい。
これは「ウルトラマン」が存在しなかった地球に初めて降り立った銀色の巨人の話。
そのセンス・オブ・ワンダーを感じてほしいです。
個人的には「音楽:宮内國郎 鷺巣詩郎」のクレジットに感激しました。
あと、マニアックな話をすると、居酒屋で流れてる歌がツボでした。 ちゃんと本編のドラマにも合ってる!
この映画がいろんな意味で心に刺さった方は、劇場でパンフレットと一緒に「シン・ウルトラマン デザインワークス」もぜひ入手することをお勧めします。
ビジュアルデザインだけでなく、作品そのもの(物語や世界観、テーマなど)のデザインについても触れた本なので。
イメージとしては「ヱヴァンゲリヲン新劇場版」のときに発行されていた「全記録全集」のコンパクト版みたいな感じです。
なお、売り切れの劇場もあるみたいですが、増刷されるそうですし、後日一般販売の予定もあるそうです。
https://www.khara.co.jp/2022/04/18/sudw/
ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス
『ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス』をIMAX 3Dで観てきました。
すごかった。堪能しました。
映像だけでお腹いっぱいです。
魔術師ドクター・ストレンジが主役で活躍する映画の2作目であり、昨年公開された『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』(2021)に続いて、マルチバースを扱ったマーベル映画です。
見どころは、並行世界「マルチバース」の描写。そこは、この世界と似ているけれども異なる発展を遂げた世界であったり、あるいは、この世界とまったく異なるルールが支配する別世界であったりする。われわれの目からすると歪んだ世界や物理法則の異なる世界が登場し、シュールレアリスム絵画の中に入っていくような感覚があって、脳がぐるぐるします。『ウルトラマン』第17話「無限へのパスポート」(四次元怪獣ブルトン登場)の拡大版みたい。3Dで観た甲斐がありました。
サム・ライミ監督らしいホラーテイストもあり、魔女との戦いを軸としたダークファンタジーっぽい雰囲気がいい感じです。
音楽は1作目のマイケル・ジアッキーノに代わってダニー・エルフマンが担当。ティム・バートン監督作品で知られるダニー・エルフマンは、こういう題材にはまさに適任。ダイナミックでありつつも妖しく幻想的なスコアは本領発揮といったところです。
そういえば劇中で音楽を使った戦いのシーンがある。へたな作り方をすると漫画映画的なギャグになってしまいそうなところを(実際ユーモラスな味もある)、迫力あるシーンに仕上げた演出と映像技術に感心しました。
それにしても、本作といい、日本の特撮番組といい、ヒーローものはマルチバースが流行り、現実世界ではメタバースが流行しようとしてる。フィクションと現実が呼応してるのか? というより、同じ方向を向いている、ということなのでしょうね。
サウンドトラックは配信アルバムでリリース。