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「サントラサーカス!3」終了しました

「サントラサーカス!3」終了しました

9月7日に浅草「ニュー酒場 フレンズ」で開催された「サントラサーカス!3」、終了しました。
ご来場、応援ありがとうございました!

私は「10代の頃に聴いていたサントラ(海外編)」をテーマに、懐かしいサントラ盤をかけました。

セットリスト
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01. 栄光への脱出(メイン・テーマ)/アーネスト・ゴールド/スタンリー・ブラック指揮、ロンドン・フェスティバル管弦楽団(『栄光への脱出』(1960)より)
02. 空軍大戦略のテーマ/ロン・グッドウィン(『空軍大戦略』(1969)より)
03. デリンジャーのテーマ/バリー・デ・ヴォーゾン(『デリンジャー』(1973)より)
04. ゴールド~メイン・タイトル/エルマー・バーンスタイン/歌:ジミー・ヘルス(『ゴールド』(1974)より)
05. 砦の29人/ニール・ヘフティ(『砦の29人』(1966)より)
06. 黒い警察/ステルヴァ・チプリアーニ(『黒い警察』(1973)より)
07. さらばベルリンの灯/ジョン・バリー(『さらばベルリンの灯』(1966)より)
08. セルピコ・愛のテーマ/ミキス・テオドラキス(『セルピコ』(1973)より)
09. 青い鳥はどこへ(序曲)/アーウィン・コスタル(『青い鳥』(1976)より)
10. リバー・ソング/シャーマン兄弟/歌:チャーリー・プライド(『トム・ソーヤ―の冒険』(1973)より)
11. WE MAY NEVER LOVE LIKE THIS AGAIN/歌:モウリーン・マクガヴァン(『タワーリングインフェルノ』(1974)より)
12. サークル・ゲーム/歌:バフィー・セントメリー(『いちご白書』(1970)より)

BtoB
カサンドラ・クロス 愛のテーマ/ジェリー・ゴールドスミス(『カサンドラ・クロス』(1976)より)
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「栄光への脱出」「砦の29人」「青い鳥」「いちご白書」は中学~高校生のときにお小遣いで買った盤(実家から掘り出してきた当時もの)を回しました。

今回かけた曲の大半は関光夫さんが映画音楽を紹介するラジオ番組で知った曲です。放送を楽しみにしていた少年時代を思い出しながら選びました。DJイベントも、そういう心に残る音楽との出会いの場所になるといいなと思ってます。

主催の小久保剛さん、そして出演者のみなさま、ありがとうございました。お疲れさまでした。

小久保さん主催の次回DJイベントは12月7日だそうです。
お楽しみに~

20240907タイムテーブル

20240907看板

カサンドラ・クロス ジャケット

8/21「葬送のフリーレン」オーケストラコンサート

8/21「葬送のフリーレン」オーケストラコンサート

8月21日はパシフィコ横浜 国立大ホールで開催された「『葬送のフリーレン』オーケストラコンサート」に足を運びました。

TVアニメ『葬送のフリーレン』のBGMをオーケストラで演奏するコンサート。
演奏は田尻真高指揮、東京フィルハーモニー交響楽団。
ゲストは音楽を担当した作曲家のEvan Callとエンディング主題歌歌手のmilet。

よいコンサートでした。堪能しました。

よかった点の第一は、全曲、Evan Call自身がコンサート用に編曲したスコアによる演奏だったこと。『葬送のフリーレン』の音楽は民族楽器が使われていますが、コンサートでそれをすべてオリジナル通りの編成で演奏するのは困難。そこで別の楽器に置き換えることになります。作曲者自身が編曲することで、違和感のない、作曲者が意図したサウンドで再現されました。そういう編曲の工夫が随所に見られます。

また、今回スクリーンにアニメの映像を投影しながら演奏されたのですが、この映像が凝っていました。楽曲が使われた名場面を選んでいるのはもちろんですが、キャラクターのセリフをフキダシに入れた文字で表示していました。セリフがあることで、どんな場面だったか鮮明に思い出すことができます。

司会者を置かず、作曲者自身がMCを務めたのもよかった。MCが別にいるよりぐっと距離が近い感じになり、作曲者自身による楽曲の解説や紹介もテンポよく進みます。1部と2部のあいだにEvan Callとmiletのトークコーナーがあり、興味深いお話が聞けました。

もちろん、演奏もすばらしかったです。
編成は、弦が12型(12・10・8・6・5)、木管がフルート、オーボエ、クラリネットが各2、イングリッシュホルンとファゴットが各1、金管がトランペット×4、トロンボーン×3、チューバ×1、ホルン×4、ピアノ×1、ハープ×1、打楽器×6。そして、ギターとマンドリンなどの民族弦楽器が、サントラの録音にも参加している堤博明。ティン・ホイッスル、イーリアンパイプなどの民族管楽器が、やはりサントラの録音に参加している野口明生。これにコーラス×12(男声×6、女声×6)が加わる大編成です。
民族楽器は少な目ですが、印象的な音が入ることで、ぐっと「フリーレン」らしいサウンドになっています。

基本的にはオリジナルに準じたアレンジで、サントラを生で聴いている感がありました。
miletの生歌で「bliss」「Anytime Anywhere」が聴けたのも感激(いずれも編曲はEvan Call)。

近年聴いたアニメ音楽コンサートの中でも上位に入る満足度の高いイベントでした。

ぜひ、再演、または商品化してほしいです。

ポスター

オーケストラ

田中敦子さん追悼メッセージ

8/17 フィルフィルコンサート ジェリー・ゴールドスミス特集

8/17 フィルフィルコンサート ジェリー・ゴールドスミス特集

8月17日は、東京オペラシティコンサートホールで開催されたフィルフィル(フィルムスコアフィルハーモニックオーケストラ)のコンサート、ジェリー・ゴールドスミス特集を聴きました。

サントラファンに人気の映画音楽作曲家、ジェリー・ゴールドスミスの作品だけで構成したコンサート。まさに待望!といったところです。

第1部では、『エアフォース・ワン』『氷の微笑』『風とライオン』『ムーラン』『グレムリン』などバラエティに富んだ作品を。

第2部はホラー・サスペンス特集として、『猿の惑星』『エイリアン』『ポルターガイスト』『オーメン』など。『オーメン』の「Ave Santani」のコーラスが圧巻でした。

第3部は『マッカーサー』『パットン大戦車軍団』『スター・トレック』『トータル・リコール』など、大編成オケの醍醐味が楽しめる作品を。『トータル・リコール』は盛り上がりますね。

『パピヨン』など流麗なメロディーが聴ける作品もあればよかったなぁと思いましたが、満足です。アンコールに『ルディ/涙のウイニング・ラン』を演奏してくれてうれしかった。

次回のフィルフィルコンサートは2025年3月1日。ジョン・ウィリアムズ特集だそうです。

フィルフィルコンサート 2024.08.17

8/10「機動戦士Zガンダム」「逆襲のシャア」コンサート

8/10「機動戦士Zガンダム」「逆襲のシャア」コンサート

忙しくてブログが書けていませんでしたが、備忘的に8月に聴いたコンサートの記録を。

8月10日は仙台銀行ホール イズミティ21大ホールで開催された仙台フィルハーモニー管弦楽団のエンターテインメント定期第2回「機動戦士Zガンダム」「機動戦士ガンダム 逆襲のシャア」のコンサートに足を運びました。

仙台フィルのエンターテインメント定期を聴くのは「コードギアス 反逆のルルーシュ」に続いて2回目。

今回は三枝成彰作曲の2作品です。目玉は「機動戦士Zガンダム」で、スコアが所在不明になっていた「交響組曲 Zガンダム」を全曲演奏。この企画を進めているあいだに、スコアが発見されたのだそうです。なんとコンサートとしては世界初演!

弦が12型。トランペットが6本、トロンボーンが4本(バストロンボーン1本)、チューバ2本という厚い金管が迫力です。
現代音楽的な技巧的なスコアと美しいメロディーが交互に現れる緊張感に富んだ作品。発売されたレコード版とは異なる部分もあり、楽しめました。

仙台フィルのエンターテインメント定期は、これからも注目していきたいと思います。

仙台フィルコンサート 2024.08.17

「渡辺岳夫 ドラマ音楽メモリアル」発売!

「渡辺岳夫 ドラマ音楽メモリアル」発売!

《SOUNDTRACK PUB》レーベル第36弾「渡辺岳夫 ドラマ音楽メモリアル」が8月28日に発売になりました。

なかなかの難産でしたので、無事発売できてほっとしています。

渡辺岳夫が1978年から80年代にかけて手がけたTVドラマ音楽をCD2枚にコンパイルした作品集。目玉は『白い巨塔』ですが、DISC2に収録した作品もおすすめです。

田辺聖子原作らしいペーソスがじんわりと沁みる『朝ごはんぬき?』。女声スキャットを使った音楽がユニークでおしゃれな『ご近所の星』。美しいメインテーマが印象的な『妻たちは…』。

個人的にお気に入りは平岩弓枝ドラマシリーズ『花ホテル』。花で彩られたホテルが舞台のドラマにふさわしく、華麗なイージーリスニング風の音楽がたっぷり聴けます。

渡辺岳夫が亡くなる5か月前に放送された『結婚行進曲』も、渡辺岳夫らしい流麗なメロディが聴ける作品。しみじみと聴いてしまいます。

没後30年の今年、渡辺岳夫が遺した音楽に耳を傾けていただけるとうれしいです。

渡辺岳夫 ドラマ音楽メモリアル

「レッツゴー!サントラさんVI」終了しました

「レッツゴー!サントラさんVI」終了しました

8月26日に明大前Cafe Bar LIVREで開催したイベント「レッツゴー!サントラさんVI~今宵を愉しく~」無事終了しました。

たくさんの応援、ご来場、ありがとうございました!

第1部は8月28日発売のCD「渡辺岳夫 ドラマ音楽メモリアル」発売記念特集
第2部はヘンリー・マンシーニ生誕100年記念特集

の2本立てでお送りしました。

イベントの中でも話しましたが、渡辺岳夫とヘンリー・マンシーニは誕生日が同じ4月16日なのですね。
渡辺岳夫は1933年4月16日生まれ、ヘンリー・マンシーニは1924年4月16日生まれ。
奇しき縁の2人の音楽、お楽しみいただけましたら幸いです。

ではまたいつか、「レッツゴー!サントラさんVII」でお会いしましょう!

サントラさんVI

Soundtrack Pub【Mission#45】終了しました

Soundtrack Pub【Mission#45】終了しました

6月15日に開催した「Soundtrack Pub【Mission#45】『牧場の少女カトリ』発売記念!」、無事終了しました。

たくさんのご来場、応援、ありがとうございました!

尾崎順一さんのDJ(私の"アガる"アニメ劇伴!)で開幕。

新コーナー「1枚のアルバム」の最初のゲスト・尾山ノルマさんが選んだのは、「交響組曲 宇宙海賊キャプテンハーロック」。
横山菁児の緻密な構成とオーケストレーションが光る名盤です。私も思い入れのある1枚で、聴きながらいろいろなことを思い出しました。

交響組曲 宇宙海賊キャプテンハーロック

特集「『牧場の少女カトリ』発売記念」トークでは、制作裏話、CDの聴きどころなどを紹介しました。

「1枚のアルバム」2人めのゲスト・西村誠芳さんが選んだのは、「科学救助隊テクノボイジャー 音楽集」。
1982年、ノリにノッている時期の羽田健太郎の作品。クラシック系からフュージョンまでハネケンの幅広い才能が楽しめる1枚です。実はこのアルバム、ちゃんと聴いたことがなく、西村さんに呆れられてしましました(すみません)。

科学救助隊テクノボイジャー 音楽集

深井歪さんのDJで締めくくりとなりました。

ゲスト出演者のみなさま、ありがとうございました。

お楽しみいただけましたら幸いです。

次回開催は9月頃を予定しています。 お楽しみに!

シンフォニック コードギアス リベリオン

シンフォニック コードギアス リベリオン

5月4日、仙台銀行ホール イズミティ21大ホールで開催された仙台フィルハーモニー管弦楽団のコンサート「シンフォニック コードギアス リベリオン」に足を運びました。

大変な力演でした。しびれました。

アニメ『コードギアス 反逆のルルーシュ』の音楽をオーケストラ組曲に編曲して演奏するという趣向。
しかし、アニメのイベント的な演奏会ではないんですね。仙台フィルの定期演奏会の一環なのです。だからアニメの映像を映し出す演出もないし、アニメのグッズなども売ってない。
それなのに『コードギアス』というセレクトが渋い。人気作品ではありますが、一般的知名度はそれほどではないと思われ。しかし、今でも新作が作られている現役の作品です。人気の定まった懐かしい作品ではなく、最新の作品を取り上げようという心意気がうれしくなります。

アニメのオリジナル音楽の作曲は中川幸太郎さんと黒石ひとみさん。
中川幸太郎さんはブラスを豪快にならすアクションもの(スーパー戦隊シリーズや仮面ライダーシリーズなど)の音楽で知られていますが、もともとは藝大で現代音楽を学んだ人で、しかもバリバリの前衛音楽を書いたりしていたそうです。アニメ『プラネテス』や『GOSICK』の音楽にその片鱗が聴けます。
で、『コードギアス』は一応ロボットアニメではありますが、お話は暗くてシリアスな展開が多い。派手な曲もありますが、現代音楽的な響きもたっぷり聴ける作品なのです。つまり、クラシックのオケでやるのにぴったり。

編曲はクラシック系の佐野秀典さん。このコンサートのためのオリジナルアレンジです。
もともと生演奏を前提に書かれていない原曲をホールの生演奏で鳴らすように、一部楽器を変えたり(ギターをハープに、サックスをクラリネットになど)、楽器を加えるなどしてアレンジしていました。オリジナルスコア準拠ではなく、オーケストラで鳴らすことを考えた編曲。『ウルトラセブン』のオリジナルBGMが『交響詩ウルトラセブン』になったみたいな感じ。楽団員の見せ場になるソロパートも随所に組み込まれています。

プログラムは『コードギアス 反逆のルルーシュ』と続編『『コードギアス 反逆のルルーシュ R2』の音楽を第1幕~第3幕に分けて構成した組曲になっています。
オーケストラは仙台フィルのメンバーに客演奏者を加えた100人近い大編成。
最初に演奏された「序曲」(原曲はサントラ1枚目の1曲目に収録された「0」)からスピード感と躍動感あふれる演奏で、シンフォニックロックのような趣。思わず身を乗り出してしまう。
組曲に構成された原曲は全40曲くらい。1曲1曲は1~2分程度の短い曲なので密度が濃い。2時間のコンサートでしたが、3時間聴いたくらいの充実感と疲労感がありました。オーケストラの集中力もすごかった。仙台フィルの「本気」を感じました。

欲を言えば、中川幸太郎さんにアレンジしてほしかったなあ~と思いますが、100人編成のスコア書くなんて大変ですからね。売れっ子の中川さんには難題かも。あと、原曲の録音に参加しているトロンボーン奏者の中川英二郎さん(言うまでもなく中川幸太郎さんの実弟)が客演してくれたら最高だったんだけどな~。
それから、せっかくプログラムを作ってるのに、楽曲紹介や編曲意図、原作曲者のプロフィールなどが載っていないのは、もったいないと思いました。そういう情報があれば、アニメを観てない人でもより楽しめると思います。

ともあれ、予想していた以上に本格的で、満足度の高いコンサートでした。仙台まで遠征した甲斐がありました。

注目すべきは、このコンサートが「エンターテインメント定期第1回」と銘打たれていること。
仙台フィルとバンダイナムコグループ(バンダイナムコフィルムワークス、バンダイナムコミュージックライブ、バンダイナムコピクチャーズ)が協力して進めるプロジェクトで、アニメなどのエンターテインメント作品の「音楽」を生演奏するシリーズなのだそうです。クラシックのプロオケがアニメの音楽を取り上げる例は最近ちょくちょく観ますが、定期で演奏するシリーズというのは初めてでは?
おそらくアニメ音楽の魅力を音楽ファンにも広げるとともに、アニメのファンにもオーケストラ音楽の魅力を知ってもらおうという趣旨だと思うのです。そのねらいは当たったようで、会場に来ていたのは圧倒的に若い客が多い。それも男性より女性のほうが多い印象。アニメのファン層を反映しているようです。
公演はアニメ人気に頼らず、あくまでオーケストラコンサートに徹しているのが清々しい。地元で親しまれている地方オーケストラが意欲的な試みをするというのも意義があると思うんです。この路線でこれからどんな展開があるのか見守りたいと思います。

次回は8月に『機動戦士Zガンダム』『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』の2作品のコンサートが、その次は『アイカツ!』シリーズのコンサートが決まっています。
https://www.sendaiphil.jp/e23/

続きを読む:シンフォニック コードギアス リベリオン

カレイドスター音楽祭

カレイドスター音楽祭

4月13日、めぐろパーシモンホール大ホールで開催された「カレイドスター音楽祭〈20周年の すごい 究極 オーケストラコンサート〉」に足を運びました。

カレイドスター愛にあふれた、すばらしいコンサートでした。

クラウドファンディングで支援者を募って実現したイベントです。目標500万円に対し、あっという間に3千万円超の支援を達成してしまうという快挙に驚きました。支援者だけでホールを満席にする人数(1000人以上)になったので、チケットの一般販売はしていません。会場を埋めたのは筋金入りのカレイドスターファンのみなさんということですね。

「音楽祭」の名にふさわしく、カレイドスターの曲がたっぷり聴ける夢のようなコンサートでした。演奏曲は約50曲。アニメの画像や映像を一切使わないという潔さもよかったです。

演奏は西谷亮指揮、パシフィックフィルハーモニアポップス東京。
オケは、弦が10・8・6・6・4、木管がフルート、オーボエ、クラリネット、コールアングレ(イングリッシュホルン)、ファゴット×各1、トランペット×2、トロンボーン×1、ホルン×4、パーカッション×4、ハープ、ピアノ×各1という編成。
ピアノは作曲・編曲の窪田ミナさん自身。
窪田さんらしい彩り豊かな音のタペストリーがホールにきらめきます。ぜいたくで幸せな空間でした。
ロマンティックな曲、抒情的な曲、軽快な曲、コミカルな曲、どれも表情豊か。ソロも達者で申し分ない演奏でした。特にそらたちの特訓シーンなどに流れるダイナミックな曲の迫力がすばらしかった。生オケを聴く醍醐味を味わいました。

出演者、観客のみなさんがカレイドスター愛にあふれていて、会場の熱気もすごかった。
作品とスタッフとファンの理想の関係を見る思いです。

2回目もあるかな。何年か経ってからでもよいので、やってほしいですね。

カレイドスター音楽祭パンフレット裏表紙

舞台「千と千尋の神隠し」

舞台「千と千尋の神隠し」

3月29日、帝国劇場で公演された舞台「千と千尋の神隠し」の夜の部を観劇しました。

観るのは初めて。NHKでこの舞台が初演されたときのドキュメンタリーが放送されて、なんかすごいことやっているので、ぜひ観たいと思っていたんですよ。

すごかったです。

大がかりで凝った舞台装置と、照明、プロジェクション・マッピングなどを使って異世界を構築。 特に第1幕は舞台上で常にセットが動き、組み変わっている。その中で芝居も続けられている。ちょっとタイミングが狂うと事故が起こりかねない。そのめくるめく感覚が理屈では理解しがたい異世界の雰囲気を作り上げている。よくぞ作ったと感嘆しました。

油屋を訪れる神々も見どころです。神様といっても妖怪みたいなもので、特異なデザインを、衣装や着ぐるみ、ライオンキング方式、マペット、操演などで動かし、芝居をさせる。いろんな技術が総合されてるなぁ。舞台を作り上げた中心はイギリスのスタッフなんですが、イギリスの舞台劇の伝統と、歌舞伎、能、特撮などの日本の伝統芸が組み合わさって完成した舞台ではないかと思いますね。

この回のキャストは、千尋が朝ドラ『カムカムエヴリバディ』現代編のヒロイン・川栄李奈、ハクが『天気の子』の主人公・森嶋帆高の声・醍醐虎汰朗、湯婆婆が『鋼の錬金術師』のエドワードをはじめ数々のアニメキャラの声でおなじみで『侍戦隊シンケンジャー』では顔出しもされていた朴ロ美(ロは正しくは王偏に路)(プリキュアファン的には『Yes! プリキュア5GoGo!』のシロップの声)と、私的にいろいろおいしい顔ぶれでした。
川栄李奈さんは3月27日が初日。まだ役がなじんでない印象がありますが、精一杯の演技に返って千尋の必死さが感じられてよかった。朴ロ美さんの湯婆婆(銭婆と二役)はさすがです。セリフの迫力、振り幅の広い演技がすばらしい。

舞台は2幕構成。不可思議な異世界をたっぷり見せる1幕に対し、2幕はいわば謎解き&解決編。映画はいろいろ謎を残して終わってしまうけれど、舞台はきれいにまとめて、しっかりテーマに決着をつける。映画とちょっと印象が変わりますね。
『ナルニア国物語』『トムは真夜中の庭で』『思い出のマーニー』などの名作児童文学の伝統があるイギリス人らしい翻案と言えるかもしれません。

音楽について。
オリジナルスコアは久石譲、音楽スーパーヴァイザーとオーケストレーションはイギリスのスタッフ。舞台の音楽監督は『ひろがるスカイ!プリキュア』『わんだふるぷりきゅあ!』の音楽を担当している深澤恵梨香。アニメ版音楽のアレンジもありますが、オリジナル曲もあったような?
舞台ではオーケストラピットもつぶしてステージにしています。オーケストラの姿が見えず、録音なのかなと思っていたら、カーテンコールのときに疑問が解けました。舞台の奥が2階建てになっていて、その上にオーケストラがいて生演奏しているのでした。びっくりしたなぁ。たぶん指揮者がモニターで舞台を見て、ヘッドフォンでマイクが拾ったセリフを聞きながら演奏している? 音楽とタイミングを合わせて芝居するシーンもあるので、これもなかなかの超絶技巧です。
アニメ版がベースになっているとはいえ、舞台版は独自の音楽なので、スタジオ録音で音楽集発売してくれないかなぁ。

カーテンコールでは客席総立ちのスタンディングオベーションとなりました。挨拶をする川栄李奈さんがなかなか立派な座長ぶり。感動しました。

帝国劇場の「千と千尋の神隠し」は3月30日が千秋楽。
このあと、愛知(名古屋)、福岡(博多)、大阪(梅田)、北海道(札幌)、イギリス(ロンドン)で公演するそうです。
すごい舞台なので、機会ががあれば、ぜひご覧ください!
https://www.tohostage.com/spirited_away/index.html

「千と千尋の神隠し」プログラム

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